ドラ1候補の根尾 日米23球団の前で人生初サイクル

[ 2018年9月4日 05:30 ]

U18アジア選手権   日本26―0香港 ( 2018年9月3日    サンマリン宮崎 )

コールド勝利でガッツポーズする野尻(左)と根尾(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 第12回U18アジア選手権が3日に開幕。日本は1次ラウンド初戦で格下の香港に26―0で5回コールド勝ちを収め、大会初の2連覇へ好発進した。「5番・右翼」で先発した根尾昂内野手(3年=大阪桐蔭)が2回に先制の適時三塁打を放ち、今大会ジャパン第1号を右翼席中段へ放り込むなど人生初のサイクル安打を達成。5安打5打点と暴れ回った。日米23球団のスカウトや編成担当者が視察する中、今秋ドラフト1位候補の力をまざまざと見せつけた。

 大会初の連覇を狙う大事な初戦は根尾の独壇場だった。3回2死二塁、フルカウントから外角高めの球を左前に運ぶと、迷うことなく一気に二塁を陥れた。深めの守備位置、緩慢な打球処理の隙を突く好走塁で「人生初めて」のサイクル安打を達成した。4回2死三塁では左翼へ適時二塁打を放ち「これも初めて」という5安打5打点の固め打ちで大勝劇を呼び込んだ。

 「(すべての打席で)逆方向に詰めていく意識を持っていました。甘い球を仕留めることができました」

 ショータイムの始まりは2回だ。無死一塁から相手左腕の初球、真ん中への変化球を逆らわずに振り抜いた。打球は三塁線を痛烈に破る先制の適時三塁打。これには永田裕治監督も舌を巻いた。「みんなが振り回していたので、反対方向を意識したのでしょう。対応力も頭もある。学習能力はさすがですね」。初回、自軍が喫した3者凡退を受け、逆方向への意識をより高めて打席へ向かった。

 打者一巡で迎えた2死無走者からの2打席目も初球を仕留め、右翼席中段へ放り込んだ。今大会のジャパン第1号は木製バットで記念すべき自身初の一発だ。打者三巡目となった2死二塁でも初球を中前へ運ぶ適時打。5安打中、実に4本が初球を仕留めたものだ。「打てる球を打っただけ。(サイクル達成の)実感はない」とサラリと言ってのけた。

 藤原とともに今秋ドラフト1位候補に挙がる逸材。中学時代はNOMOジャパンに加え、スキーでも国際舞台を踏んだ経験を持つ。国際試合で意識することを問われると「驚かないこと」を第一に挙げた。日本とは違う相手のけん制や投球モーション、普段目にしない遅い球……。何があっても動じない強い心が好結果を生んだ。

 日の丸を背負っても「根尾さん」と呼ばれるほど仲間からの信頼も厚い。中川、藤原と組んだ大阪桐蔭トリオの中軸で、ひときわ強い輝きを放った。「周りが打てない時に打つのがクリーンアップ。5安打で満足しているようではダメです」。いざ大会初の連覇へ――。日本には頼もしすぎる背番号5がいる。(吉仲 博幸)

続きを表示

2018年9月4日のニュース