元ロッテの興国・喜多新監督 劇的なサヨナラ勝ちで公式戦初陣飾る

[ 2018年9月2日 18:08 ]

秋季大阪大会1回戦   興国4―3北野(延長13回タイブレーク) ( 2018年9月2日    興国グラウンド )

試合後のミーティングに臨んだ興国・喜多隆志監督
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 新チーム発足から指揮を執る元ロッテの興国・喜多隆志新監督が2日、公式戦の初陣を劇的なサヨナラ勝ちで飾った。

 「試合前から我慢比べになると思っていました。思い通りに行かず、キツい場面もありましたが、試合の中で選手が成長してくれました。ピッチャーも落ち着いて見ていられましたし、サード(高橋律暉内野手)のファインプレーも大きかった」

 強攻策が見事に決まった。3―3のままタイブレークに突入した延長13回。無死満塁という大ピンチを無失点で切り抜けると、先頭で打席に向かう川口彰太捕手を呼び止めた。「バントはない。勝負にいくぞ」。指揮官の言葉が、川口の背中を押す。初球を振り抜くと、白球は中前で弾んだ。2時間56分の激闘に決着をつけるサヨナラタイムリー。粘る府下屈指の進学校・北野を振り切った。

 1968年夏に全国制覇を果たすなど、春夏合わせ7度の甲子園出場を誇る伝統校。2015年秋に就任した田中英樹前監督が低迷中だったチームを再建し、大阪大会で昨夏は8強、昨秋は4強に進出した。上位進出を狙える下地が築かれたことで、今夏の大阪大会終了後に17年4月から同校に野球部長として着任していた喜多新監督にバトンタッチ。村野工を2度、甲子園に導き、法大助監督を務めるなど豊富なキャリアを誇る田中前監督は部長として新体制をサポートする。

 折しも喜多新監督の母校・智弁和歌山は高嶋仁監督が今夏限りで退任し、同級生の中谷仁監督が新任。記者会見後には恩師の元に挨拶へ向かい、「頑張れよ」という激励を受けていた。

 一塁側に陣取ったこの日の一戦では、高嶋元監督と同じくベンチ最前列で仁王立ち。「意識はしていませんでしたが、自然と出ていました」。冷静に戦局を見つめながらも、選手を鼓舞し続けた。

 勝利の立役者は9回から登板した背番号1の右腕・伊藤司投手と捕手・川口だった。伊藤は1メートル88の長身からナチュラルに変化するストレートで相手打線を翻弄。5イニングをわずか1安打無失点に封じ込めた。

 先発した浅利太門投手と2番手・伊藤を好リードした川口は、サヨナラ打を含む6打数6安打と攻守でフル回転した。早朝5時30分に起床し、午前6時からの素振りが日課。今夏も背番号12で出場していた期待の1年生が、日頃の地道な努力を結果に結びつけた。

 伊藤が「(13回のピンチは)自分の持っているものを全て出し切るつもりで腕を全力で振りました。新たな歴史を築いていきたい」と言えば、川口は「延長戦は夏の初戦でも経験していましたし、91人の部員の思いを背負って戦っている。まず近畿大会を目指して頑張っていきたい」と前を向いた。1975年夏以来遠ざかる聖地。若き新指揮官の下、91人の部員全員が一丸となって進撃を狙う。

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