輝星 甲子園後初の実戦登板 11球すべて直球 「シャキーン」のポーズに大きな拍手と歓声

[ 2018年9月1日 05:30 ]

<宮崎選抜・日本>9回に登板した吉田(撮影・岡田 丈靖)
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 U18アジア選手権(3日開幕)に出場する高校日本代表は31日、サンマリン宮崎で宮崎県高校選抜と壮行試合を行い、4―2で勝利を収めた。甲子園準優勝右腕の吉田輝星投手(3年=金足農)は9回に実戦初登板を果たし、最速149キロをマークするなど1イニングを無失点。今夏甲子園の疲労を考慮されて別メニューで調整してきたが、不安を一掃する「日の丸デビュー」となった。

 これが久々のマウンドなのか。日の丸のユニホームに袖を通して初登板。吉田は直球だけを投げ込んだ。「ラストサムライ」が貫禄の11球だ。

 「久しぶりの実戦。とにかく全力の直球を、腕を振り切って投げられるかどうか。それができて良かった」

 甲子園決勝から中9日。最初の打者に死球を当てたが、次打者を浮き上がるような148キロ直球で空振り三振に仕留めると、二盗を狙った一塁走者も女房役の小泉が刺して一気に併殺。2死となってギアも上がった。

 最後の打者には初球から148キロ、149キロを連発。そして4球目もこの日最速タイとなる149キロの内角直球でバットをへし折り、力ない投ゴロが転がった。今夏の秋田大会から1517球を投げ抜いた。「先発完投」こそがトレードマークだが、自身初の抑え役にも冷静に対応した。

 プロ7球団のスカウトが見守った。実力に加えて、話題性も抜群だ。9回、吉田がマウンドに一歩踏み出すと、1万6000人から大歓声が湧き起こった。投球練習を終え、プレートの後方で右膝を突く。刀を抜く「シャキーン」のポーズに、拍手と歓声はさらに大きくなった。

 永田裕治監督は「この(アジア)大会で投げられないかもしれないというところから入った。とにかく一歩ずつ一歩ずつ」と話した。甲子園の激闘によるダメージは予想以上に深刻だった。東京近郊で行われた合宿では徹底して疲労回復に努め、完全別メニューでウオーキングから始め、入念なマッサージを受けた。捕手を座らせたブルペン投球は29日。「先発じゃないのでスイッチがすぐ入らないかもしれないと思った」との不安は、右手に残った手応えが払しょくしてくれた。

 大会本番では5日の1次ラウンド・韓国戦に先発する可能性がある。「先発ならば変化球も使わないといけない。もっと精度を上げたい。心理的にはどこでもできる。起用された場所で全力を出し切りたい」。日本の連覇へ、頼もしい右腕が帰ってきた。 (松井 いつき)

【輝星に聞く】

 ――投げ終えて。

 「短いイニングで球速も出ていたので良かった」

 ――全て直球。

 「強気でいこうと思っていた。まだ感覚が完全に戻ってきていない。早く甲子園みたいに対応力を身につけたいと思った」

 ――抜刀ポーズは。

 「ルーティンなんでやろうと思った。(藤原とのコンビは)100点です」

 ――クローザーは?

 「とりあえず全力で投げることを意識した。あとはしっかりギアを上げていければ」

 ――疲労を心配する声もあった。

 「正直、地区大会から球数は多かったけれど、あれくらいの球数(計1517球)でケガしているようでは上のステージでは活躍できないと思った。甲子園の時よりは疲れがとれて状態は上がってきている。追い込まれ出せる限界の力もあるけど、限りなく近いような自分の力が出せた」

 ――次戦は本大会。

 「次は本番。手ごわくなると思う。変化球もしっかり使いたい。本番で結果を残さないと意味がない」

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