大谷 4番初、天敵から初の14号弾 「報復死球」も初体験

[ 2018年8月27日 05:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス3―8アストロズ ( 2018年8月25日    アナハイム )

<エンゼルス・アストロズ>4回無死一塁、中越え2ランを放つ大谷(投手・バーランダー)(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が25日(日本時間26日)、アストロズ戦で4番初アーチとなる14号2ランを放った。過去の対戦で7打数1安打と苦しめられたジャスティン・バーランダー投手(35)から一発を含む2長打。メジャー屈指の右腕を3度目の対戦で攻略した。8回には初めて「報復死球」を経験するなど、主砲として圧倒的な存在感を示した。

 想定外の球種でもフルスイングした。0―4の4回無死一塁。大谷はバーランダーの初球、外角86マイル(約138キロ)のチェンジアップに体をため、豪快にすくい上げた。左中間フェンスを越えた打球を見届けると、クールな男が珍しく吠えた。

 「正直、頭の中にはなかったけど、何とか食らいついた」。チェンジアップは2回の第1打席で捉え、右翼線二塁打としていた。全く予想していなかったにもかかわらず、迷いも力みも一切感じさせないスイングだった。

 5月の初対戦では3三振を含む4打数無安打で「いい勉強になった」と脱帽。7月はセーフティーバントを試みるなど揺さぶった末、二塁打で一矢報いた。「確実に1回目より2回目、2回目より3回目の方が、しっかりいいタイミングで入れている」。初回に三盗を仕掛け、元女房役のマルドナドに刺されて初の盗塁死を記録したのもご愛きょうだ。

 ある変化が試合前のフリー打撃に見えた。普段130〜140メートル級の特大弾を連発する大谷が、極めて異例の柵越えゼロ。「毎日毎日、工夫している」と話す24歳はミート中心で刀を研ぎ、試合での爆発につなげた。前回登板で通算200勝に達した右腕は「投球の幅を広げようと加えたチェンジアップをしっかり見極められ、アジャストされた。凄いパワーだ」と驚嘆した。

 大谷は最近、同い年のフレッチャーと試合前、ゲームキャラクター「マリオ」をまねてパンチをしながらジャンプするパフォーマンスがお気に入り。フレッチャーは「翔平のアイデアだよ」と明かした。この日は球団主催の「80年代復刻シリーズ」の2日目。「マリオブラザーズ」の発売年と同じ1983年に生まれた11歳上のバーランダーに、強烈なパンチを見舞った。

 6試合目の4番で初アーチ。それも初めて3番トラウト、5番プホルスに挟まれた4番で打った。8回には味方投手が首位打者3度のアルテューベに死球を与えたためとみられる、報復死球を腰付近に受けた。メジャーならではの初体験にも「デッドボールは普通にあること」と意に介さなかったがチームの顔として認められている証拠だ。大物打ちを経て、進化はさらに加速する。(大林 幹雄)

 ○…バーランダーから本塁打を放った日本選手は、大谷と同じエンゼルスでプレーしていた10年の松井秀以来5人目。要した9打席は岩村に並んで2番目に早い。またサイ・ヤング賞投手から本塁打するのは4月4日インディアンス戦でのクルバーからの2号2ラン以来2人目となった。

 ○…日本選手のメジャー1年目の最多本塁打は城島の18本。松井秀が16本、井口が15本で続く。大谷は今月、月間別で最多の5本目と量産態勢に入っている。残り約1カ月で、日本選手の最多記録の更新も十分視野に入ってきた。

 ○…大谷は27日(日本時間28日)に右肘の故障後3度目となる実戦形式の登板に臨むことになった。ビリー・エプラーGMが明らかにした。3イニングで45〜50球を想定し、非公開で行われる。この日はアストロズ戦前にブルペンで軽めに21球を投げ「次回の登板をしっかりクリアできれば、またさらに復帰できる可能性は高くなる」と見通しを語った。

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