魅力ある若手続々出現の裏に…日本ハム・栗山監督の“縁”重視の起用法あり

[ 2018年8月25日 09:30 ]

ベーブルースゆかりの静岡・草薙で1軍復帰した次の試合で2号本塁打を放った日本ハム・清宮
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 日本ハム担当1年目。栗山監督が選手の縁を大事にする選手起用ぶりは、何よりも選手への愛情を感じられる。

 最近では左腕・上原は広陵時代に3年間を過ごした6月18日の広島戦、生まれ故郷の沖縄での同27日のソフトバンク戦と続けて登板機会を与えた。北海道帯広市出身の右腕・杉浦は、年に1度の帯広開催となる8月1日のロッテ戦に先発起用。トレード移籍で新加入した左腕・藤岡の移籍後初登板は8月16日の古巣・ロッテ戦だった。

 指揮官は「いろんな思いがあると思うし、大きなスイッチを入れてくれると思う。そういう環境をつくってあげたかった。意気に感じてやってくれたらうれしい」と思いを明かす。上原は広島戦でプロ初本塁打を放って勝ち投手となり、結果で応えた。杉浦、藤岡は結果としては残らなかったものの、藤岡は「監督に配慮していただいて、その思いは感じている」と奮起した。

 8月21日にドラフト1位・清宮を昇格させたのは、かつてベーブ・ルースが沢村栄治と日米野球で対戦し、2人の銅像が建つ草薙球場でのソフトバンク戦だった。リトルリーグ時代に「和製ベーブ・ルース」と呼ばれた清宮はまだ右肘が万全ではなく、守備に就けない清宮の1軍昇格には周囲の反対もあった。それでも最終的には「ベーブ・ルースがいるからベーブを呼んだ」と監督の専権事項として自らの考えを貫いた。清宮も昇格後の4試合で2本塁打、7打点と結果を残した。

 前年5位のチームから大谷(エンゼルス)、増井(オリックス)、大野奨(中日)が抜け、シーズン前はBクラス予想が並んだ。その低評価を覆し、優勝争いを繰り広げる指揮官は「大事な時期にチームは勝たないといけないんだけど、それとは別に一人一人の人間を生かして大切にしてあげるのは、凄く大事なこと。そうでなければプロ野球である意味はないと思っている」。自身が預かった選手に最大限の愛情を注ぎ込み、その選手の個性を殺すことなくどう伸ばしていくのが最善かを考え尽くす。選手の可能性をどこまでも信じているからこそ、魅力ある若手が次々と現れるのだと感じている。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2018年8月25日のニュース