【斎藤隆氏サミーレポート】若い世代から必要 1人1人がリーダーの自覚

[ 2018年8月17日 13:00 ]

復興支援ベースボールプロジェクトで中学生を指導する斎藤氏
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 先週、中学生を指導する機会がありました。都内で開催されたNPB法人「ハンズオン東京」とMLBジャパンによる復興支援ベースボールプロジェクトで、3回目を迎えた今年は、熊本・九州学院中、宮城・蛇田中、東京・港区選抜のチームが参加。技術指導とともに、私が伝えたのが、パドレスで学んだリーダーシップ論でした。

 夏の甲子園が真っ最中の高校野球もそうですが、日本のアマチュア野球は「キャプテン」の存在が大きく、彼は紛れもなくチームのリーダーです。しかし、キャプテンが全ての指示を出し、責任も負うという形が組織としてベストなのか。選手が10人いれば、10人が違うリーダーシップの取り方がある、というのが、MLBの球団が若手に指導している考え方です。

 パドレスではオフシーズンに若手有望株を集めて、リーダーシップ論の専門家が講義を行います。ヤンキースのキャプテンを長年務めたデレク・ジーターやフットボールの名コーチが選手を鼓舞する場面など、さまざまなスポーツにおけるリーダーの映像を流し、「君はどのタイプのリーダーの資質を持っているか?」などと考えさせ、ディスカッションを行います。リーダーシップを取るには自分の性格を知らないといけない。それは長所ではなく、短所と向き合うことにもつながります。

 日本の中高生の野球のレベルは世界的に見ても高いです。しかし、技術は高くても、メンタル面はどうか。どこかで一人のリーダーに頼っている部分があるのではないでしょうか。ある高校の強豪校は、野球部のキャプテンとフィールド上のキャプテンをあえて別にしているという話を聞きました。その高校は1〜3軍制を敷き、3軍でも単独で遠征し、対外試合を行うそうです。「レギュラー以外は補欠」ではなく、3軍の選手にもリーダーシップを発揮する機会が与えられています。

 リーダーは一人ではなく、人それぞれにリーダーシップの取り方がある。これは野球に限らず、社会に出た時にも通じる話なので、若い年代からそのような教育を受けることは大事だと考えています。 (パドレス球団アドバイザー)

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2018年8月17日のニュース