金本監督 ひらめいた!代打に“神様”原口より大山 決断に応えV撃

[ 2018年8月17日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―2広島 ( 2018年8月16日    京セラD )

<神・広>試合終了後、大山(3番)とタッチを交わす金本監督(撮影・坂田 高浩)
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 これぞ神采配や!阪神は16日の広島戦に3―2で競り勝ち、今季初の4カード連続勝ち越しを決めた。同点に追いつかれた直後の8回無死満塁の絶好機に金本知憲監督(50)は投手の代打に原口ではなく、大山悠輔内野手(23)を抜てき。その決断が決勝点を生み出した。優勝マジックの点灯を許しても、猛虎の執念に衰えは皆無だ。

 同点に追いつかれた直後の8回に無死満塁の好機が訪れた。打順は9番・投手。さあ、“代打の神様”の登場…ではなかった。代打で35打数18安打の打率・514を誇る原口ではなく、ネクストバッターズサークルに立っていた大山が打席へ向かった。

 「ネクストに入った以上は自分だと思っていましたし、原口さんと思っている方が多かった中、自分を送り出してくれた。それに応えないといけないと思ったので集中してネクストに入りました」

 緊張感が張り詰める打席で、ある一打が肩の力をやわらげた。カウント2―2からの5球目、三塁線へのファウルが走者・中谷の臀部(でんぶ)に直撃。「あれでちょっと緊張が解けた」。集中力を研ぎ澄まし、直後のフランスアの6球目、151キロ直球を中前へ。普段はクールな背番号3がヒーローインタビューで「いや、もう、本当に凄くうれしい」と感情をあらわにした。それほど大きな仕事をやり遂げた。

 金本監督は決断の理由を明かした。「原口は左にあまりよくないので。右投手の方がいい。それで速い球に強いということで大山を出した。よくやってくれた」。原口は対右投手の打率・364に対し、対左は同・273。そこで大山の特性に賭けた。「迷ったよね、ホンマね。定石では、原口でしょうけど」。ベンチ内で指揮官も戦っていた。その決断力も広島の粘りをまさった。

 タクトが冴えたのは「代打・大山」だけではない。1点リードで迎えた7回には糸井に代えて中谷を右翼に入れ、中堅も伊藤隼から俊介に代えた。「(糸井は)膝がね…足の状態が、あまりよくなかったみたいだから。あそこ(中堅)は守備重視ですね」。直後の7回2死二塁。代打・新井の左中間への大飛球を確実につかみ捕ったのは、その俊介だ。リスクマネジメントも万全だった。

 4カード連続勝ち越しは今季初。3日時点で最大8あった借金を3まで減らした。2位・ヤクルトに0・5差、3位・巨人にゲーム差なし。「目先の勝ち越しというのは一つのテーマ。続けていきたい」。猛虎の逆襲は、これからだ。(惟任 貴信)

 ≪初の代打V打≫大山(神)は4月5日DeNA戦4回の左犠飛、7月4日中日戦8回の右越え三塁打に続く今季3度目の決勝打。プロ通算4度目で、代打で決めたのは今回が初めて。代打での打点もプロ入り初で、今季はこの試合まで12度の起用で11打数1安打の打率・091。11打席連続無安打だった。

 ≪4カード連続勝ち越し≫阪神は今季初の4カード連続勝ち越し。夏の長期ロード期間では、15年の1カード目から4カード連続以来3年ぶりとなった。チームは最短で18日に自力優勝の可能性が復活。条件は阪神の2勝か1勝1分け、広島の2敗。

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