小兵1メートル71済美・山口直 13センチ差投げ勝った 14年ぶり8強

[ 2018年8月17日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第12日・3回戦   済美3―1高知商 ( 2018年8月16日    甲子園 )

<高知商・済美>1失点完投でベスト8を決めた済美・山口直。手前は高知商・北代(撮影・成瀬 徹) 
Photo By スポニチ

 仲間と勝利のグラブタッチを交わすと高知商のエース・北代の姿を捜した。身長差13センチ。好敵手の顔を見上げながら済美(愛媛)・山口直は自然と思い浮かんだ言葉を贈った。

 「ありがとう」

 四国一の座を懸けて投げ合ったエース同士の会話。北代からも同じ言葉が返ってきた。

 「疲れというのは特に感じなかったです。投げていて凄く楽しかった」

 愛媛大会から8試合全てを一人で投げ抜いた。12日の星稜戦では延長13回(タイブレーク)184球を投げた上、軸足の右膝に死球を受けるアクシデントもあったが、最速141キロの速球を主体に右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを織り交ぜた。2試合で計28安打26得点の猛打を振るった高知商打線を最少失点に抑え、準優勝した04年以来14年ぶりの8強入りに貢献した。

 13年センバツ準優勝時のエース・安楽(楽天)の控え投手だった兄・和哉さん(22)の“好救援”もあった。星稜戦の翌日にチームを離れて故郷の淡路島に戻り、ぬかを発酵させた60度の酵素風呂で疲れを取った。「兄の紹介でした」。激戦で残った右肩の張りも消えた。

 これでチームは甲子園で春夏通算20勝。次戦は小園を擁する報徳学園が相手だ。「コースを間違えなければ」と攻略をイメージした。日本一を夢見て海を渡った1メートル71右腕。ここはまだ通過点だ。 (石川 勝己)

続きを表示

2018年8月17日のニュース