下関国際 3安打で16強 坂原監督“執念”の9回逆転「普通に打っても勝てない 5回までに100球」

[ 2018年8月16日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第11日2回戦   下関国際5―4創志学園 ( 2018年8月15日    甲子園 )

<創志学園・下関国際>試合に勝利し、スタンドへ駆け出す鶴田(左から4人目)ら下関国際ナイン(撮影・近藤 大暉)
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 待球作戦で疲れさせ、最後に打ち砕く。まるでマタドールが闘牛を仕留めるようだ。創志学園の2年生エース・西を攻略。闘牛士のような彫りの深い顔の下関国際・坂原秀尚監督は策を明かした。

 「普通に打っても安打は出ない、勝てないので。終盤勝負、前半我慢で5回までに100球投げさせる。6回からバットを振らせ、食らい付いた執念です」。西は創成館との1回戦で16奪三振の完封劇。ただ3月のセンバツ出発前の壮行試合で敗れはしたが、球筋はチェック済みだ。当時は縦に落ちるスライダーに「球が消えた!」と騒いだナインだったが、指揮官の4つの指示を冷静に遂行した。

 <1>見逃し三振はOK。ただ終盤のためにタイミングだけは取れ。

 <2>1人8球以上投げさせて、打席は長く。

 <3>2ストライクまで待たせるときもある。

 <4>ストライクゾーンを小さく。厳しい低めの球は捨てる。

 西は期待通りの荒れ球。5回は四球と敵失により無安打で1点を返し、イニング最多の32球を投げさせた。球数は既に110球。6回からバットを振り出し、2―4で迎えた9回に捉えた。西の暴投で1点差とし、品川が右前へ同点打。佐本が勝ち越しの中犠飛を放ち「自分たちは終盤が得意」と胸を張った。

 わずか3安打で179球を投げさせ、土壇場で逆転勝ち。「弱者の兵法」で初の16強入りを果たした坂原監督は「野球は安打の多さではない」と言う。練習は過酷で早朝5時から1日約10時間は「できるまでやる」がテーマだ。

 800メートル走10本では全員が設定タイムをクリアしないと1本に数えられない。ケース打撃では無死一塁から「点を取れ」「満塁にしろ」との指示を夜11時すぎまで続けたこともあり、初戦は延長10回の末、今回は9回逆転という粘り強さにつながっている。浜松主将は2つ目のウイニングボールを指揮官に渡すと「足りないよ」と言われた。快進撃は続く。 (井上 満夫)

下関国際の驚異的な粘りに納得できる。快活な男たちは、常に追い込まれている。厳しい寮生活。テレビは置いておらず、楽しみは「寝ることと、ラジオ、読書、ウォークマンです」と口をそろえる。ウォークマン…。平成最後にテープで音楽を聴くのか?今度、詳細を聞こうと思う。

 ≪記者フリートーク 西部総局・井上満夫≫携帯電話も入部と同時に解約させられる。1日2000スイングがノルマ。授業の合間の10分間の休憩中に、制服姿の丸刈り男たちが教室脇で振り込む姿は恒例だという。2番の甲山は言う。「厳しいことをやっているから今いい思いができる。楽をしているチームには絶対に負けられない」。笑顔だが、その眼光はすさまじく鋭い。

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