日大三 “秘密兵器”で7年ぶりV前進 2年生右腕井上 復帰戦で衝撃の150キロ

[ 2018年8月16日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第11日2回戦   日大三8―4奈良大付 ( 2018年8月15日    甲子園 )

<奈良大付・日大三>3回無安打投球の日大三の先発・井上(撮影・坂田 高浩)
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 秘密兵器がついにベールを脱いだ。日大三(西東京)は奈良大付を8―4で下した。今大会初登板で先発した井上広輝投手(2年)は3回を無安打無失点2四球4奪三振。右肘を痛めていたU―18日本代表候補の右腕は今春の東京都大会以来の登板で自己最速を3キロ更新する150キロを計測した。なお、東京勢は春夏通算300勝を達成した。

 全力で右腕を振った。電光掲示板に「150」が表示され、どよめく甲子園。2回2死、2―2からの5球目だった。外角高めに外れてボールとなったが、井上はフルカウントから146キロで空振り三振に仕留めた。右肘痛からの復帰登板で、自己最速を3キロ更新する大台到達だった。

(投球回数を限定し/逸材しっかり育成/) 「回復するだけではなく、レベルアップすると心に決めてやってきた」。全出場校56校中、1位の地方大会チーム打率・458を誇る奈良大付を直球とスライダーで3回を無安打無失点。三振も4つ奪った。復帰戦で3回限定でのマウンド。それでも47球でチームに勢いをつけ「コントロールよく投げられた。初回緊張したけど試合の感覚を取り戻せた」と手応えを口にした。U―18日本代表候補右腕。逸材の将来を考え、復帰時期に細心の注意を払ってきた小倉全由監督も7年ぶりの全国制覇に向け「今後は戦力としてやってくれると思う」と期待した。

(センバツ147キロ/春季大会で違和感/) 4月28日の春季東京大会、早実との準決勝で救援した後に右肘の違和感を訴えた。今春センバツの由利工との1回戦では自己最速の147キロを計測したが、直球を投じる腕の振りが速すぎて悲鳴を上げた。まだ体が成長しきっていないこともあって、右肘の筋肉が炎症。3カ月半の離脱を余儀なくされた。

(投げられない間の/下半身強化が結実/) 「腕だけではなくて下半身を使って投げよう」と投球できない間は下半身強化に専念した。1日に坂ダッシュを20本。筋力トレーニングではスクワットなどでふくらはぎを中心に鍛え、体重も5キロ増えた。6月下旬に投球練習を開始したが「感覚がつかめず、違和感があった」と西東京大会では登板機会がなかった。それでも徐々に下半身と上半身が連動していく。「苦しい中で勝ち抜いてきたチームに自分も加わりたい。甲子園でやってやるぞ」。強い気持ちも後押しし、8月に入ってからは違和感なく投げられるようになった。

 OBで昨年のU―18日本代表内野手だった兄・大成(青学大野球部1年)からは常に「甲子園は他の場所とは違う。思いっきりやってこい」と言われてきた。その甲子園で、また自己最速を更新。背番号11は「まだベストではない。状態を上げていけばまだ出ると思う」と自信を見せた。 (武本 万里絵)

 ◆井上 広輝(いのうえ・ひろき)2001年(平13)7月17日生まれ、神奈川県厚木市出身の17歳。小1からソフトボールを始め、南毛利中時代は海老名南シニアで投手としてプレー。日大三では1年夏からベンチ入り。尊敬する投手は、日大三OBで11年夏の甲子園で優勝投手となった吉永健太朗(現JR東日本)。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

 ○…日大三が勝利し二松学舎大付とともに3回戦に進出した。東西に分離された74年以降で東京勢2校が16強入りするのは昨年の二松学舎大付、東海大菅生に続き9度目、2年連続は初めてとなった。

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