近江・有馬 捕手の読みズバリ!サヨナラ打「それに張っていた」

[ 2018年8月14日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第9日・2回戦   近江4―3前橋育英 ( 2018年8月13日    甲子園 )

<近江・前橋育英>9回無死満塁、サヨナラの中前適時打を放ち、ガッツポーズの近江・有馬(手前右)(撮影・近藤 大暉)
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 2回戦が3試合行われ、第3試合では近江(滋賀)が9回無死満塁から有馬諒捕手(2年)が中前にサヨナラ打を放ち、前橋育英(群馬)を4―3で下した。春夏3度の全国制覇を誇る智弁和歌山に続き、夏の全国制覇を経験した強豪校をまたしても撃破。01年の準優勝を超える悲願の日本一も期待される。

 捕手としての本能が働いた。3―3の9回無死満塁。打席に入る直前にマウンドの恩田が右ふくらはぎをつり、プレーが一度中断したが、有馬は再開後の初球142キロ直球を迷わず振り抜いた。

 「初球は一番、ストライクが取りやすい直球で来る。それに張っていました」

 前進守備の二遊間を破るサヨナラ打。今大会9打席目の初安打で13年夏優勝の前橋育英を撃破した。3投手の継投で「3本の矢」と称されて準優勝した01年以来の夏2勝。2年生捕手が立役者だ。

 今春センバツ準優勝で、97、00年夏の全国制覇を誇る智弁和歌山との1回戦では、4投手の継投で強力打線を封じた。「4本の矢」の威力を最大限に引き出すのも大事な役目。この日は1―3の4回から2番手で登板した2年生左腕・林を好リードした。

 最速133キロの直球を見せ球にカーブで緩急をつけ、スライダー、チェンジアップで勝負。6回2安打無失点の好救援に導いた。宿舎では林、佐合、金城、松岡の4投手と同部屋。全員で相手の映像を確認するなどコミュニケーションを高める。先発した3年の佐合が「上級生にもタメ語。でも、有馬も上下関係があったらやりにくいから」と話し、林は「たまに勉強を教えてもらう」と笑った。

 入部初日から練習試合に出場も、ユニホームが間に合わず、多賀章仁監督のものを借りた「武勇伝」を持つ。捕手出身の指揮官も「配球の意図は何か。私がそばで聞いていてもなるほどと思う」と絶大な信頼を置く。最初の目標に掲げた8強まで、あと1勝。その先には悲願の全国制覇も見えてくる。 (桜井 克也)

 ▽滋賀県勢の甲子園成績 春夏通じて優勝経験がない。最高成績は01年夏、近江の準優勝。決勝で日大三に2―5で敗れた。4強には80年夏の瀬田工と85年夏の甲西が進出。80年は早実、85年はPL学園にそれぞれ敗れた。8強には79年夏と82年夏に比叡山が進出し、春は近畿勢で唯一、準決勝に進出したことがない。

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