中日・吉見 6年ぶり完封 しかも無四球「このチームは四球が多すぎる」

[ 2018年8月11日 05:30 ]

セ・リーグ   中日3―0ヤクルト ( 2018年8月10日    ナゴヤD )

<中・ヤ>無四球の散発3安打に抑え、完封勝利の吉見(撮影・椎名 航)
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 103球目。中日の吉見はヤクルトの青木を遊ゴロに仕留めると、右拳を強く強く握りしめ、ナインとハイタッチ。瞬く間に笑顔の華を咲かせた。12年8月8日の広島戦以来、実に2193日ぶりの完封勝利だった。

 「(完封は)したいなとは思っていたが、まさかできるとは。チームが連敗しているので、自分が止めるんだと最後まで集中力が続いた」

 序盤から内角攻めを貫いた。初回、山田哲には内角シュートを2球続けて中飛。2回、先頭のバレンティンも初球、高めのシュートでのけぞらせると、最後はフォークで空振り三振。象徴的だったのは7回だ。山田哲への5球目、体へ当たりそうなコースからストライクゾーンに曲げる「フロントドア」といわれるスライダーで見逃し三振に切って取った。前夜、新幹線での移動中、DeNA・ウィーランドの投球を動画で見て「外一辺倒では抑えられない」と内角の重要性を再認識した。

 徹底したインサイド攻めができるのも抜群の制球力があってこそ。無四球での完封勝利は今季チーム初で「こだわっていた。このチームは四球が多すぎる」とリーグワーストの374四球を与えている投手陣にお手本を示した。

 プロ13年目の今季。1つだけ変えたことがある。イニング間に行うキャッチボールの立つ位置だ。多くの投手がベンチから出てすぐ、外野側に立っている捕手に投げるが、吉見は逆にした。自らが外野側まで20メートルほど歩き、ベンチそばの捕手に向かって投げる。

 1つ目の理由は「振り向くのが面倒」と試合展開を確認するためで、何度も首を曲げたくないから。そしてもう1つが「景色」である。これまで通りだと外野に向かって投げるため、マウンドから投げる際とは反対の景色になる。だが、外野側まで自分が歩いてキャッチボールを行えば「マウンドと一緒の景色になる」。より集中力を高められると判断した。

 ベテラン右腕はバットでも貢献した。4回2死一、三塁から左前へ先制打。今季28打席目での初安打が値千金の決勝打となり「振ったら当たっただけ」としながらも「自分を楽にしてくれた」と投球にリズムを生んだ。完封投手が決勝打を放つのは、13年5月10日の阪神メッセンジャー以来だ。

 チームは5連勝後に5連敗を喫していた。負ければ借金が今季最多13に膨らむ危機的状況を救った右腕に森監督も「死にかけているところ、地元で生き返った」と快投を称えた。

 「若い子たちに負けないよう頑張りたい」と吉見。33歳。まだまだ老け込む年齢ではない。(徳原 麗奈)

 ≪ネルソン以来8年ぶり≫6年ぶり13度目完封の吉見(中)が、4回に決勝打となる先制の左前適時打。完封投手の決勝打は、13年5月10日にメッセンジャー(神)がヤクルト戦で記録して以来5年ぶり。中日では10年9月2日広島戦のネルソン以来8年ぶり。

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