松井裕樹という男 高校時代のモットーは「笑顔」下級生にも友達のように

[ 2018年8月7日 05:31 ]

桐光学園時代の松井
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 楽天の松井裕樹投手(22)と女優の石橋杏奈(26)が今年12月にハワイで挙式することが6日、分かった。すでに親しい知人には喜びの報告をしている。昨季まで3年連続30セーブ以上をマークしている左腕と野球好きの正統派美人女優が幸せのゴールインを決めた。

 桐光学園時代、松井裕樹の帽子のつばには「笑え そして勝て」と書き込まれていた。高校3年時の13年、アマ野球担当としてエース左腕の取材を担当。下級生にも友達のように笑顔で接している姿が印象的だった。上下関係がないことが同校入学の決め手の一つということもあった。

 それでも信じられない光景を、同年の神奈川大会で目の当たりにした。4―2で勝利した2回戦・相洋戦。捕手は1年生・田中だった。3回2死二塁のピンチ。女房役はマウンドに向かうと、2学年先輩の松井のあごを右手で掴み「リラックスしていこう」と声をかけたのだ。敬語でなくタメ語。2人の関係性が凝縮された一場面だった。初戦で緊張気味だった左腕には笑顔が戻り、2失点完投。「配球は任せているので」と感謝していた。

 当時、神奈川の高校野球は間違いなく松井を中心に回っていた。12年夏の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立。各強豪校が「打倒・松井」の旗を掲げた。松井見たさにファンが詰めかけ、入場できないファンが「どうして入れないんだ!球場を変えろ!」と詰め寄る場面も見た。

 春の神奈川県大会4回戦では、横浜を13奪三振で完封。内角に鋭く食い込んだスライダーが、相手4番打者の空振り後に右足を直撃する場面もあった。横浜は1年間かけて1人の投手攻略に時間を費やした。最後の夏は準々決勝で同校から2本塁打を浴び、甲子園に手が届かなかった。

 名将・渡辺元智監督に「打倒・松井に明け暮れてきた全員の勝利。40数年監督をやって数少ない重圧のかかる試合でした」とまで言わせた怪物。試合後、帽子のつばに書いた「笑顔」はなかった。声を詰まらせ、嗚咽(おえつ)しながら号泣した。プロでの成功は、あの一戦の悔しさがあるからだと思う。(神田 佑)

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2018年8月7日のニュース