慶応 夏98年ぶりサヨナラ イケメン1番宮尾が決めた

[ 2018年8月6日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第1日・1回戦   慶応3―2中越 ( 2018年8月5日    甲子園 )

<慶応・中越>9回2死一、二塁、慶応・宮尾は中前にサヨナラ打を放つ (撮影・奥 調)
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 慶応(北神奈川)が「歴史的」サヨナラ勝ちだ。中越(新潟)との1回戦は2―2で9回へ。宮尾将内野手(3年)が2死から築いた一、二塁の好機で、中前打を放って試合を決めた。夏のサヨナラ勝利は慶応普通部時代の1920年以来、98年ぶり2度目。1915年の第1回大会出場校がいない100回目の球児の夏を、第2回大会優勝校が盛り上げる。

 1番打者の笑顔がはじけた。「最後は自分が決めてやろうと。凄くうれしい」。宮尾のこの試合3本目の安打は二遊間を鋭く破り、二塁走者の善波が間一髪で本塁生還。2死走者なしからの好機を生かしたサヨナラ勝ちだ。神奈川県勢の春夏通算200勝目。慶応は東京から神奈川に移って以降、53年夏に挙げた1勝目から数えて春夏10勝目となった。

 上位に左打者が並ぶ打線に、中越は右腕・山本と左腕・山田を交互につぎ込むジグザグ継投で対抗。宮尾は初回、3回と山本から2安打も、5、7回は山田に左飛、見逃し三振に倒れた。9回は2死一、二塁となって山田が3度目の登板。宮尾には「2打席見てたので次は打てると思った」と冷静さがあった。

 北神奈川大会で打率・400のリードオフマン。前回の夏の甲子園出場時、8歳だった宮尾は08年北神奈川大会決勝・東海大相模戦を横浜スタジアムで観戦し「慶応が格好いい」と夢中になった。法政二中から進学し、憧れのユニホームで1年秋からレギュラー。だが、今春センバツで壁にぶち当たった。

 初戦で好左腕・増居擁する彦根東に敗退。終盤の好機で併殺打に倒れ、その後に逆転された。「自分が打てなくて負けた」。早大で内野手としてプレーした父・毅さん(45)の後押しもあって打撃フォームを一から見直して夏を迎えた。森林貴彦監督は今夏、試合ごとのテーマを四字熟語にして掲げる。この日は「捲土重来(けんどちょうらい)」だった。「かみしめるように聞いた」という宮尾が、左腕攻略で春の借りを返した。

 野球部きってのイケメンで、本人いわく「反町隆史に似ていると言われる」。ファンクラブが結成され、試合後には出待ちのファンから「将さま〜?」と、名前の読みが同じOBの嵐・櫻井翔ばりに黄色い声援を浴びるほどだ。「慶応の名に恥じぬよう気を引き締めていく。日本一を獲りたい」。涼しげな笑顔がきりっと引き締まった。 (松井 いつき)

 ▽慶応の1920年(大9)夏のサヨナラ勝ち 1916年の第2回大会に初出場初優勝した慶応普通部(当時)は20年の第6回大会が4度目の出場。初戦の準々決勝で長岡中に勝つと、準決勝は松山商と当たり、3―3で迎えた延長16回に試合を決めた。決勝は関西学院に0―17で大敗。今も残る決勝最多失点、最多得点差記録だ。大会は新たに北海道代表が加わり15校が参加。同年は日本初のプロ野球チーム・日本運動協会が誕生(24年解散)。明治神宮創建、第1回箱根駅伝、日本最初のメーデーがあった。

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