松井氏を“5連続敬遠”の河野さん 43歳、今も現役選手で夢を追う

[ 2018年8月6日 10:00 ]

43歳の今も現役でプレーする河野和洋さん(本人提供)
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 星稜OBの松井秀喜氏(44)が5日、甲子園に帰ってきた。100回目の記念大会で始球式。直後の開幕戦では母校・星稜が勝利し、ネット裏でナインと一緒に校歌を熱唱した。

 松井氏が星稜3年だった92年夏。8月18日の明徳義塾戦で「5打席連続敬遠」のすえに、チームは2―3で敗れて甲子園を去った。高校生活最後の試合となったあの日から、9485日。一方の当事者で、明徳義塾の背番号8を付けてマウンドにいた河野和洋さん(43)は、今も現役選手として汗を流し、夢を追っている。

 「土日に野球をやって、平日は筋肉痛。体はボロボロですけど、やっぱり楽しいですよ」。河野さんはクラブチーム「千葉熱血MAKING」の兼任監督を務めていたが、16年12月に引退。その後は「土日は釣りとかやっていたんですけど…。つまらなくて」。軟式野球に誘われる機会もあり、打席に立つことで「もう一度、野球がやりたくなった」という。そして今年6月、クラブチームの「全三郷硬式野球部」に入団した。

 当時、社会問題ともなった5打席連続敬遠。26年の歳月が流れ、河野さんは振り返る。「最近も映像を見返してみたんです。勝負事だけど、いろんなドラマがあって…。あの試合によって人生が変わった人もいる。甲子園の影響力はすごいと、改めて思いました」。今と変わらず、どこまでも暑かった夏の日。そして「松井を5打席敬遠しなかったら勝てなかった。あの勝ち方しかなかったと思います」と続けた。

 43歳。河野さんは高校球児だった当時と同じく、今も夢中で白球を追う。「まだまだうまくなりたい、もっと打ちたい」――。夢は全日本クラブ野球選手権の出場。「(会場の)メットライフドームでホームランを打ちたいですね」と力を込める。

 長男で小5の球人君は、野球ではなくバレエに熱中。今年4月には米ニューヨークでのユースの世界大会でベスト6に入った。松井氏が居を構えるニューヨークでの活躍は、不思議な縁も感じさせる。

 100回目の夏の甲子園。これまで数々のドラマが、物語が紡がれてきた。夏の日の青空のように、きっとそれはこれからも変わらない。

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