【福島】聖光学院 戦後最多更新12連覇 捕手・大松倒れヒヤリも…真相は

[ 2018年7月23日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会福島大会決勝   聖光学院15―2福島商 ( 2018年7月22日    いわきグリーン )

<福島商・聖光学院>試合終了の瞬間、倒れた聖光学院の捕手・大松
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 第100回全国高校野球選手権記念大会(8月5日から17日間、甲子園)の地方大会は22日、42大会で141試合が行われた。10大会で行われた決勝では、聖光学院(福島)が福島大会決勝史上最多となる15得点で福島商を圧倒し、戦後最長を更新する12年連続の出場を決めた。作新学院(栃木)は8年連続出場。23日は22大会で59試合が行われ、南埼玉など4大会で決勝が行われる。

 一度できた歓喜の輪がほどけた。エース衛藤が指さした先には、本塁上で崩れ落ちる捕手・大松の姿。心配したナインが駆けつけた。校歌を歌って応援席に駆け出すと、やっと喜びを爆発させた。

 「昨日の試合ではミスをしていたので、ホッとしてしまって立ち上がれなかった」。前日のいわき海星との準決勝で一塁側ファウルゾーンへの飛球を追いかけ一塁手に激突。その直後に1点差に詰め寄られ、勝っても泣き崩れた。優勝して救われ、虚脱感に陥った。

 2発を含む17安打と打線が爆発し、福島大会決勝史上最多となる15得点で戦後最長記録更新の12連覇を果たした。過去5年は全て1点差勝利だっただけに、斎藤智也監督は「“決勝独特のムードをかなぐり捨てろ”と言ったことがやっと分かってきたようでうれしかった」と目を細めた。

 今春のセンバツでは2回戦で東海大相模に3―12で大敗。「史上最強」と言われながら、目標にしていた日本一とは程遠い結果に終わった。センバツの敗北から1週間後。普段からユニホームと帽子を着用して応援に駆けつける地元の人が、ナインのもとを訪れた。「本来の聖光学院の野球じゃない。がっかりした」。衝撃の言葉とともに突き返されたユニホーム。結果ばかりを意識した野球ではいけないと、気づかされる大きな事件だった。この日を境に「一瞬一瞬をやり切ろう」と足元を見つめ直した。

 常勝軍団として、期待を背負って戦う苦しさもある。前日、矢吹主将は気分転換を目的に横山博英部長にいわき市内の海に連れ出され、号泣した。「ここまで本当に苦しかった。全部出し切って勝ててよかった」。ようやく肩の荷が下りた。

 東北大会を秋春連覇し、夏も12年連続の頂点をつかんだ。常連となった夏の甲子園の最高成績は4度のベスト8。東北勢の悲願である「白河の関」を越える戦いに向かう。 (秋元 萌佳)

 ☆夏の地方大会連覇 戦前は1915〜28年に和歌山中(現桐蔭)が関西・紀和大会で14連覇を達成している。戦後は05〜12年の智弁和歌山の8連覇が最長記録だったが、聖光学院が15年に9連覇を達成。12連覇まで更新している。

 聖光学院(福島)キリスト教系の私立校。陸上部や剣道部も強豪。

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