広島ミラクル勝ち!下水流、逆転サヨナラ弾「ともに戦っていきましょう」

[ 2018年7月21日 05:47 ]

セ・リーグ   広島10―9巨人 ( 2018年7月20日    マツダ )

10回2死一塁、下水流は右越えに逆転サヨナラ2点本塁打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 広島は20日の巨人戦で逆転サヨナラ勝ちした。1点を追う延長10回2死一塁、途中出場していた下水流昂外野手(30)が右翼に3号2ランを放った。西日本豪雨の影響で4日ヤクルト戦以来16日ぶりとなった本拠地・マツダスタジアムでの一戦。甚大な被害を受けた広島に、ミラクル勝利で勇気と元気を届けた。

 最後の最後に最高の笑顔が待っていた。最大7点リードを守れず1点ビハインドで迎えた延長10回。2死一塁から途中出場した下水流は1ストライクからマシソンの153キロ速球を右翼ポール際に運んだ。「記憶にない」と話す人生初のサヨナラアーチが、絶対に負けられない一戦で飛び出した。

 「真っすぐだけは絶対に打とうと思っていた。当たってくれて良かった。届いてくれと思って走っていた。本当に最高でーす!」

 9回の守備から入り、自身初打席で結果を残した。16日の中日戦で自打球を当て交代して以降、先発から外れている鈴木の代役候補の一人が最高の結果を出してチーム一丸野球を勝利で結実させた。緒方監督からは「ナイン、広島に勇気を与える一打だったと思う」と称賛された。

 試行錯誤の日々だった。開幕直後は松山からの助言を参考に、足を上げると同時にグリップを一度下げる打法に挑戦。4月19日ヤクルト戦ではサヨナラ打を放つなど一時的な活躍を見せたが、納得いかずに元に戻した。「完成形を早く見つけたい…。打席に立てない中で、そうも言ってられないんですけどね」。6月28日には降格も経験。2軍戦で実戦を積み重ね、再び激戦の外野争いに戻ってきた。

 16日ぶりとなる本拠地での一戦。マツダスタジアムには半旗が掲げられ、試合前には両軍ナインらが犠牲者に黙とうをささげた。連日の報道で思い知らされる西日本豪雨における被害の深刻さ。安易に被災地への思いを語れない中、プレーに思いを込めた。ヒーローもお立ち台でコイ党に語りかけた。

 「勝利の報告ができてよかった。大変だと思いますが、ともに戦っていきましょう」

 最後まで諦めない姿勢は少しであるが、被災者への勇気となったはず。失意の広島には希望の灯をともすカープがいる。 (河合 洋介)

 ○…広島は今季マツダの巨人戦を開幕から6戦全勝。52年のフランチャイズ制後、本拠地で巨人に6連勝は広島市民での64年と06年に並び、マツダでは15年の5連勝を更新する球団記録で、開幕から無傷は初めて。昨季8月12日から10連勝となり、シーズンまたぎの本拠地巨人戦連勝記録も更新中だ。

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