阪神・糸井、2軍戦で“超人復帰” 自ら宣言「いくぞ、横浜!」

[ 2018年7月21日 08:05 ]

4回2死三塁、糸井は右越えに2ランを放つ(撮影・坂田 高浩)
Photo By スポニチ

 右腓骨(ひこつ)骨折で離脱していた阪神・糸井嘉男外野手(36)が20日、ウエスタン・リーグの中日戦に「3番・右翼」で出場し、甲子園球場の右中間席へ本塁打を打ち込むなど超人的な復帰を見せつけた。3打席2安打で調整を終えた後、自ら横浜遠征への合流を明言。DeNAに敗れて今季最悪の借金7を抱えた猛虎の救世主として期待が高まる。

 復帰の準備は整った。予定の3打席を終え、糸井はクラブハウスへの帰路で大きな声で叫んだ。

 「いくぞ、横浜!」

 異例の選手発の合流宣言だった。はやる思いは既に1軍の舞台へ向かったのだろう。「もちろん」と力強くうなずいた。

 先月30日のヤクルト戦での死球で負った右腓骨(ひこつ)骨折は厳密に言えば完治はしていない。実際に引き揚げる際には右足にアイシング治療を施しながら歩いた。手負いは覚悟の上だ。

 これが超人と称される理由か。初回2死無走者で迎えた最初の打席でいきなり快音を響かせた。140キロの内角直球を打ち返し、右中間フェンスに直撃させた二塁打。二塁走者としても左飛落球で一気に本塁まで生還し、走塁でも不安を外に見せなかった。

 圧巻は4回2死三塁での3打席目だ。清水の変化球をフルスイングで捉え、高く強い飛球はきれいな放物線を描いて右中間席へ飛び込んだ。「完璧じゃないよ」。甲子園球場の最深部へ打ち込んだ一撃を振り返り、笑みがこぼれた。3回の左飛も好守に阻まれた一打。代打で1打席だけ立った13日の球宴第1戦以来の実戦で十分過ぎる内容だった。20日ぶりに就いた右翼守備でも3回に一塁手・荒木が後逸した打球をカバーするなど3度の打球処理。スタンドに入った邪飛もフェンス際まで追いかけた。

 同じナイターで1軍はDeNAに惨敗。5回からナバーロが中堅を守った布陣を金本監督は「糸井が帰ってきた時の想定もあるしね。まあ、準備という意味でね」と説明し、きょう21日の合流を事実上認めた。既に前日19日の時点で「問題なければ」と復帰即の「3番・右翼」を示唆していた通り1試合だけの試運転でGOサインが出た。

 2度目の5連敗で今季最悪の借金7。糸井不在の8試合で2勝6敗に沈み、広島とは10差まで広がった。この窮状を救えるのは、もう超人しかいない。(長谷川 凡記)

 ▽糸井の超人伝説

 ★13年 オリックス移籍1年目の5月3日ロッテ戦で右膝を痛め途中交代。「軽度の内側側副靱帯損傷」の診断も出場を続け、8日のソフトバンク戦では寺原から3ラン。

 ★14年 4月13日のソフトバンク戦で、春季キャンプ中にも痛めた右脇腹痛を再発し途中交代も、抹消なしで出場を継続。腰や両膝にも負担をかけながら140試合出場で打率・331の首位打者。

 ★15年 故障をおしての出場がアダとなり7月4日に右肘内側側副靱帯損傷」と「右腓骨筋腱損傷」でオリックス移籍後初の登録抹消。ファン投票で選出の球宴出場が危ぶまれたが、17日の第1戦に代打で実戦復帰。後半戦も初戦から出場した。

続きを表示

2018年7月21日のニュース