【島根】帝京にも名前負けしなかった浜田 和田力投で8強けん引

[ 2018年7月21日 08:00 ]

第80回大会3回戦   浜田3―2帝京 ( 1998年8月19日    甲子園 )

<浜田・帝京>完投勝利にガッツポーズの浜田・和田毅投手
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 【スポニチ社員が選ぶわが故郷のベストゲーム】この夏、全国高校野球選手権大会は100回目。ふるさとチームの甲子園での活躍に熱くなった記憶を、北北海道から沖縄まで、今夏の代表校数と同じ56人のスポニチ社員がつづります。

 ライナーはバックスクリーンに向かってグーンと伸びていった。2―0の8回に母校のエースが浴びた同点2ラン。その力投よりも、敵の3番打者が放った強烈な打球が、なぜか今も鮮明によみがえる。もはやこれまでか…と観念した。

 浜田をけん引したのは、現ソフトバンクの左腕・和田毅。帝京の中軸は、日本ハムなどで活躍した森本稀哲だ。何しろ、激戦の東東京を制した3年前の夏の甲子園優勝校と、田舎の進学校の対戦である。勝つのは難しいだろう…と勝手に予想していた。

 ところが…だ。直後に幸運が転がり込むから野球はわからない。2安打と四球で満塁とし、押し出し死球で決勝点。振り返れば4回の2点も、相手のけん制悪送球をカバーに入った中堅手が後逸するミスで挙げたものだ。

 翌日のスポニチには新田均監督の印象深い談話が載った。「もらった点ばかりで本当に申し訳ない。ここまで勝つ予定はなかったのに…」。一方で帝京・前田三夫監督は本質を突き、「もう少し打てないと、ここでは勝てない」と総括していた。

 和田は強力打線を5安打に抑える力投。浜田を初の、島根県勢としては10年ぶりの8強に導いた。強い相手に敢然と立ち向かった後輩たちを誇らしく感じた試合。名前負けしていた己の不明を恥じた。

 ◆江尾 卓也(大阪本社報道部)島根県浜田市出身、浜田高卒。プロ野球・広島担当。

 <島根データ>

夏の出場 61回(通算29勝61敗)

最高成績 4強3回(杵築中=1917年、松江中=23年、江の川=2003年)

最多出場 浜田(11)

最多勝利 浜田(7)

出場経験 17校、うち未勝利7校

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