鷺宮製作所10年ぶり1勝、“小さな左腕”野口が大仕事、完投○

[ 2018年7月17日 05:30 ]

スポニチ後援第89回都市対抗野球大会第4日・1回戦   鷺宮製作所4―2伯和ビクトリーズ ( 2018年7月16日    東京D )

2失点ながらも完投勝利の鷺宮製作所・野口(中央)はナインに祝福される(撮影・村上 大輔)
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 1回戦3試合が行われた。創部60年目の鷺宮製作所(東京都)は野口亮太投手(25)が伯和ビクトリーズ(東広島市)を8安打2失点に抑えて完投勝利。チームを10年ぶりの白星に導いた。新日鉄住金かずさマジック(君津市)は西部ガス(福岡市)に逆転勝ち。2年ぶりの優勝を狙うトヨタ自動車(豊田市)は東京ガス(東京都)を下した。

 9回に2点差に迫られ、なお1死三塁。マウンドに来た目良宏監督から「まだ、いくぞ」と告げられた野口は「初戦はマウンドを譲りたくなかった。信じてもらえて良かった」。後続を抑えて2失点で完投勝利。1メートル64の小さな左腕は「疲れました」と笑った。

 「早く投げたい、楽しみという気持ちだった」。予選はリリーフ中心。大事な初戦で先発を任され117球を投げ抜いた。直球は140キロに届かなくても、変化球を丁寧に四隅に配した。昨年は補強選手としてNTT東日本の優勝に貢献。チームは9年ぶりの出場だが、一足先に大舞台に立った経験も生きた。

 前橋商3年だった10年夏の甲子園では、1回戦の宇和島東戦で完封勝利。仙台大ではエース熊原(現DeNA)の控えだった。「自分はスピードもない。相手打者は“打てそうだ”となめてかかってくると思う。そこでかわして、かわして…」。体は小さくても、投球術でカバーする。

 創部60周年。創部時から総監督を務め、熱心に活動を支えた西見一郎名誉会長が昨年3月、91歳で死去した。池井戸潤氏の小説「ルーズヴェルト・ゲーム」のモデルにもなり、目良監督は「総監督がいたから野球部の歴史がある。父親的な存在でした」。そんな西見氏にささげる、待望久しい10年ぶりの白星だった。(鈴木 勝巳)

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2018年7月17日のニュース