【群馬】利根商 今夏勇退の82歳豊田監督涙 逆転で初戦突破「孫のおかげ」

[ 2018年7月8日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権群馬大会1回戦   利根商6―3西邑楽 ( 2018年7月7日    上毛新聞敷島 )

初戦を突破し涙を流す豊田監督
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 こらえきれなかった。豊田監督はベンチ前で校歌を聴きながら何度も涙をふいた。試合後、82歳は「最後の大会」と口にし、「ようやってくれた。孫(選手)のおかげ。逆転してくれて良かった」とタオルで顔を覆った。

 65年から母校・近大付(大阪)の監督に就任し3度センバツに導いた。15年9月に利根商の監督に就任し、今年度で任期満了となることから今夏限りで勇退することを決意。選手には新チーム発足時の昨秋に伝えた。試合前に内野ノックを行ったが「ボールが飛んでくれなくなった」と体力の衰えも口にした。

(闘志は衰えず/ベンチで怒声/) ただ、近大付監督時代に「鬼の豊田」と言われた熱血ぶりは健在だ。試合前には「負けたら、俺は今日で終わりだ」と選手を鼓舞して臨み、序盤にバントや走塁のミスで好機をつぶすと、ベンチに老将の怒声が響いた。

 選手の思いが形になったのが7回。1死二塁から1番・設楽が「監督も自分も最後の大会。絶対に諦めない」と右前打でつなぎ、2点差を追いつく。さらに2死満塁から代打の2年生の狩野が勝ち越しの左前2点打を放った。一挙5点を奪う逆転劇に「絶対に負けたくなかった。監督とも3年生ともまだまだ野球をやりたい」。指揮官から「アッパースイングにならず体重移動してレベルスイングで打て」と指導された通りの鮮やかな流し打ちを見せ、恩返しした。

 50年以上の高校野球指導経験がある豊田監督も夏の甲子園には縁がない。最後の夏に向け「利根商にお世話になって良かったと思えるようにしたい」。老将の夏はまだ終わらない。 (渡辺 剛太)

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