球界の「高プロ」クローザーに目立つ不振 重圧をはねのけたその先に

[ 2018年7月2日 10:43 ]

<ロ・巨>ロッテ・平沢にサヨナラ打を打たれ、ぼう然とする巨人・カミネロ
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 ちまたで話題の言葉を借りれば「球界の高度プロフェッショナル」。それが抑え投手の仕事だろう。18年シーズンも折り返し地点を過ぎた。各チームのクローザー事情を見ると、配置転換や2軍落ちなどが目立っている。

 1日までナゴヤドームで中日―巨人戦を取材した。かたや中日・田島は守護神の座を外れて中継ぎに。こなた巨人・カミネロは6月29日に逆転サヨナラ負けのきっかけをつくり、翌30日に2軍落ちした。その29日の試合後、カミネロが漏らした言葉が耳に残った。

 「自分のやるべきことは、次の日も立ち上がって全力を尽くす。それだけだ」――。1度も失敗しない守護神などいない。ただし、限りなく失敗がない状態に近い成績が求められるのも事実。誰の人生でも、雨の降らない日は決してない。プロの世界では、抑え投手はたとえ雨が降っても胸を張って雨粒に濡れなければならないのだろう。

 今季、苦しんでいるクローザーの成績は、

 カミネロ(巨人) 1勝1敗11セーブ、防御率5・79

 田島(中日) 0勝4敗15セーブ、防御率6・00

 松井(楽天) 0勝5敗2セーブ、防御率5・01

 増田(西武) 0勝4敗11セーブ、防御率4・91

 カミネロと松井は2軍で再調整。田島、増田は抑えの座から外れている。本人たちは悔しいだろう。重圧があってこそ、プロの世界では輝くことができるのだから。

 現在、巨人で投手コーチを務めている豊田清は、西武時代の01年に抑えに転向した。翌02、03年に最優秀救援投手賞を受賞。ともに防御率は驚異の0点台だった。150キロ近い直球に絶妙なコントロール、決め球のフォークボール…。そんな豊田も、もちろん重圧と戦った。ブルペンで準備をしていると、極度の緊張から吐き気が抑えられない。そこで投手コーチは、気を紛らわせる苦肉の策として、豊田にガムをかませた。かんでいたガムを吐き出す。さあ行こう。それがマウンドへと向かう合図だったという。

 サッカーW杯を見ていても、各国の選手は猛烈なプレッシャーを背負いながらプレーしているのが手に取るように分かる。球界の「高プロ」たる抑え投手。これから夏場の過酷な戦いが待つ。重圧をはねのけたその先に、勝利が待っている。ファンは、その姿を見たいと願っている。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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2018年7月2日のニュース