工藤監督が仕掛けた珍しいプレー「走者三塁で エッ!?ンドラン」

[ 2018年7月1日 10:00 ]

ソフトバンク・工藤監督
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 6月29日のソフトバンク―ロッテ戦。珍しいプレーをヤフオクドームの記者席から見た。

 場面はソフトバンク2点リードの2回1死一、三塁。9番・川瀬の3球目に一、三塁走者がスタート切った。川瀬は涌井が投じた内角の厳しいボール球に空振りし、三塁走者の松田が三本間に挟まれ憤死した。サインは「エンドラン」だった。

 結果は失敗に終わったが、工藤監督は「スクイズも頭にあったが(開幕前から)練習してきたので。こういうサインがあるのかと相手に思わせるのが大事」と話した。

 ふと、12年夏の甲子園準々決勝を思い出した。東海大甲府が作新学院戦で、この作戦を敢行した。1死三塁で、相手内野手は前進守備を敷いていたが、遊ゴロの間に1点を奪った。翌日の紙面の見出しは、スポーツ新聞ならでは。

 「走者三塁で エッ!?ンドラン」

 村中秀人監督は「うちの選手はバントが下手なので、スクイズよりもいい」と試合後にコメントした。地方大会でも成功していたプレーで、選手たちはエンドランのサインに驚くことはなかった。

 プロ野球では3割打てば一流選手と言われる。7割は凡打と考えれば、タイムリーヒットよりも得点の可能性が高まる策と言える。ただ、厳しいボール球を投じられた際には、スクイズよりもリスクは高まる。ウエストボールなら、なおさらバットに当てるのは難しい。

 川瀬の場面は、カウント2ボールからの3球目だった。ウエストされる可能性が低いカウントだっただけに「川瀬は当てるのが上手」(工藤監督)という根拠から、思い切ったサインを出した。

 「これからもどんどんやっていく」と工藤監督。今シーズン中にこの作戦が成功するか、注目したい。(記者コラム・川島 毅洋)

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2018年7月1日のニュース