能見 虎生え抜き33年ぶり100勝 史上2番目年長39歳1カ月達成

[ 2018年6月29日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―2DeNA ( 2018年6月28日    横浜 )

<D・神>通算100勝目を挙げ、花束を手に笑顔をみせる能見(撮影・坂田 高浩)
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 阪神・能見篤史投手(39)が28日のDeNA戦(横浜)で通算100勝を達成した。プロ野球135人目で、史上2番目に遅い39歳1カ月での到達となった。

 「勝負球」には、信念がにじんだ。「逃げずに腕を振る」。8回に登板し神里、柴田を連続三振。ソトに左前打され2死一塁で筒香を迎えた。1ボール2ストライクから内角への145キロ直球に筒香は反応できなかった。3個目の「K」で仕事を果たすと、直後の9回に勝ち越しに成功し今季2勝目、通算100勝目の白星が転がり込んできた。

 主戦場の先発でなく、中継ぎで手にした節目の1勝でも、価値は不変。いつだって、チームへの献身が心を突き動かしてきた。5月下旬、打診された配置転換に「できることはやりたい」とうなずいた。転向後初の登板となった5日オリックス戦は1回無失点。「2日後に結構、張ってね。体の張りも先発の時と違う」。体は正直だった。

 39歳での挑戦を支えたのは豊富な経験と引き出し。「昔みたいなボールは投げられない」と「力」にこだわらず「工夫はできる」とクイック投法でタイミングをずらすなど「技」で挑んだ。結果を積み重ね、不可欠な存在となった。

 働き場を変え、なくなった“儀式”がある。10年以上、先発前夜には必ず「カレー」を食べてきた。王道の献立には3度の開幕投手、5度の2桁勝利をマークした左腕の繊細な感覚と、人知れない重圧がうかがえる。

 「登板前日はすごく緊張する方で、考えることも多くて、なかなか食事が喉を通らなかった」。栄養価が高く、短時間で食せるメニューを妻・千江子さんに要望すると、カレーが並ぶようになった。

 「(前日の)カレーはずっと一緒。辛いのが好きだから、自分は辛口で。毎回、同じ味を作るのは難しいみたいで。味も変わるけど、それが自分の楽しみだったりするから」。子ども用の甘口と作り分ける妻に感謝し、手を合わせ家族でテーブルを囲む時間が戦いに臨む男の士気を高めてきた。

 マウンドでは、後輩たちに背中で語ってきた。投球の際、踏み出す右足の歩幅は「6歩半」と決めている。投げ込むうち、着地点には綺麗な穴ができる。フォームの安定性から乱れがない。今春キャンプ中、小野と才木が左腕が去った後の「穴」を見つめていた。

 「リリーフ、バッターもね。いろんな人に支えてもらったから」。バックにしまった100個目の勝利球に、数え切れない仲間の助力を重ね合わせた。腕を振る理由がまた1つ増えた。(遠藤 礼)

 《年長記録は下柳》能見(神)が28日のDeNA戦(横浜)で今季2勝目を挙げ、通算100勝目に到達。プロ野球135人目。阪神投手では07年の下柳剛に続く17人目で、生え抜きでは85年の山本和行以来33年ぶり。初勝利は05年4月24日の横浜戦(横浜)。39歳1カ月、生後14277日目の到達は07年下柳(神=39歳1カ月、同14296日目)に次ぐ2番目の年長記録となった。

 《25歳誕生日過ぎデビューでは年長記録》能見のプロ初登板は05年4月3日ヤクルト戦で25歳10カ月。2リーグ制以降、25歳の誕生日を過ぎてデビューした投手の100勝到達は

 年 投 手    歳・月

55大友 工(巨)25・0

62藤田元司(巨)25・7

86仁科時成(ロ)25・10

89松沼博久(西)26・6

18能見篤史(神)25・10

(年齢は初登板時)

の5人。能見は松沼に次いで、仁科を1日更新する2番目の年長記録。

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