【特別手記】通算100勝達成!能見 近づく引き際 悔い残さず現役終えたい

[ 2018年6月29日 10:10 ]

セ・リーグ   阪神3―2DeNA ( 2018年6月28日    横浜 )

<D・神>通算100勝目を挙げ、花束を手に笑顔をみせる能見(撮影・坂田 高浩)
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 阪神・能見が通算100勝を記録。スポニチ本紙に特別手記を寄せた。

 100勝は昨季を終えた時点で2勝に迫って、できるに越したことはないし、達成できたらすごく良いなと思っていた数字でした。今年、ファームで2勝目を挙げた時には(ともにコーチの)福原さん、安藤さんに“100勝おめでとう”と、祝福されましたけどね。節目ではあるんですが、球界には200勝している人もたくさんいますし、自分が評価することではない。それでも、積み重ねとして、プロで14年間、大きなけがもなくやってこれたのは良かったと思っています。

 長くやっていると、同世代の選手は年々、気になってくるもので、ヤクルトの石川、ソフトバンクの五十嵐は、同じピッチャーですし、自分の一つのモチべーションというか、励みにはしていました。特に石川は、若い時からずっとローテーションで投げてきて、150勝以上している。本当に尊敬しますし、100勝と150勝はやはり全然違います。

 プロ人生を振り返って、分岐点と言えるのは間違いなく09年です。先発で結果が出ず中継ぎに回って7月10日の巨人戦で延長12回から登板して2失点。チームも負けました。うまくいかないことが多くて苦しかったんですが、2日後に、もう一度、同じ巨人相手に中継ぎで登板した時に、全力ではなく8割ぐらいの意識で投げると、打者がタイミングを取りづらそうにしていたんです。バッターが違和感を覚えた、と感じました。一つ、きっかけをつかめた部分で、その後先発に戻った19日の巨人戦で完封できました。試合の中で気づけたことだったので、自分にとって、すごく大きかった。あの時、気づけなかったら、今の自分はないと思っています。

 プロ入りから数年は、結果も出なくて、うまくいかない時期は短くなかったですが、そんな時、支えてくれたのは妻でした。10年に右足を骨折した時は、お腹に子どもがいたんですけど、車の運転など、リハビリの手助けをしてもらいました。いろいろ協力してもらって、本当に気をつかってもらっている。家族の存在は大きいですし、報いたい気持ちはずっと持ってやってきました。年々、バリバリやれるわけではないし、試合に出る割合も少なくなってくる中で、子どもたちに対しては、お父さんが野球をやってた、というのを覚えてもらっていたら十分だと思っています。

 今年5月で39歳になって、引き際についても考えるようになりました。いずれは来る道なので。その中で、なるべく悔いを残すことなく現役生活を終えたい。そのためには一日一日、できること、やれることをやろうと。それは何でも練習すれば良いってものでもなく、やり過ぎるとパフォーマンスに欠けてしまう。回復力も落ちてくるし、今は、うまく、メリハリをつけながらやっています。

 ファンの方にも感謝しないといけません。プロに入ってしばらくは、結果も出せずに厳しい声も、もらいました。そういう声は、球場が静まりかえった時に、聞こえてくるんですよね。正直、辛い部分もありましたけど、逆に結果が出ない時に、声援をもらえると、心打たれることも多かったですね。

 先発ではなく、中継ぎというポジションで100個目の白星を手にしましたが、どんな形でもいい。それもチームの勝利の1つであることは、間違いないので。今は、本当に優勝したい思いが強い。その目標に貢献できるよう、与えられたところでこれからも、腕を振っていきます。(阪神タイガース投手)

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