阪神・陽川 打ち直しV弾 まさかの落球に「もう一度チャンス来た」

[ 2018年6月27日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4―0DeNA ( 2018年6月26日    横浜 )

<D・神>7回1死一、三塁、陽川は中越えに先制3ランを放ち「ゴリラポーズ」(撮影・岩崎 哲也)
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 阪神・陽川尚将内野手(26)が26日のDeNA戦で決勝3ランを含む全4打点を叩き出し、1分けを挟む連敗を5で止め、最下位脱出に貢献した。

 一度“死んだ身”の男は、目をぎらつかせた。「もう一度、チャンスが来たので」。陽川は2球で追い込まれてからは短く持っていたバットを力強く握り直した。0―0の7回1死一、三塁。エスコバーの155キロ直球に押された一塁ファウルゾーンへの飛球は落下点に入った一塁手・中川大の、まさかの落球で救われた。

 “打ち直し”となった直後の6球目。同じ155キロ直球を振り抜いた打球は、バックスクリーン右に飛び込む2号3ラン。「必死に食らいついていったのが本塁打になった。凄い歓声で気持ち良かった」と振り返る会心のアーチは、幸運そのものだった。

 5連敗中のチームを救い、力投するエースを奮い立たせた一撃は、友に届けた一発でもあった。

 「阪神、新外国人入ってくるんやろ?絶対、勝てよ!」。声の主は、金光大阪時代のチームメートで元巨人の長江翔太氏だ。16年から和歌山で合同自主トレを行うパートナーは16年に巨人退団後、独立リーグを経て今年から台湾の社会人チームに所属する。

 「台湾まで行って、あいつ(長江)は、ほんまに野球が好きなんやと思います。プロであいつの分もと思いますし、自分も負けてられないです」。自主トレ期間中は打撃投手を務めてもらい、気持ちのこもった白球を打ち返した。新外国人・ロサリオの加入で、チャンスが減ることを心配した長江氏の言葉に「頑張るよ」とうなずいていた背番号55が唯一無二の放物線で“答え”を出した。

 今季初昇格を果たした6月3日西武戦で1号を放っても「試合は負けてますからね。勝った試合で打たないと意味がない」と表情は渋かった。正真正銘のV弾に加え9回2死二塁から左中間突破のダメ押し二塁打。待ち望んだ独壇場に「良かったです」と、少しだけ頬を緩めた。

 ポジションはまだ与えられていない。2軍で復調気配を見せるロサリオに、新外国人として実戦デビューしたナバーロ……。ライバルは少なくない。「結果を残して頑張りたいと思う」。真価を問われる戦いは、これから始まる。(遠藤 礼)

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