中畑清氏 下馬評が低くてかえって良かった 「おっさんジャパン」反骨心がパワーに

[ 2018年6月26日 10:00 ]

セネガル戦でゴールを決める本田(撮影・西海健太郎)
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 【キヨシスタイル】下馬評が低くてかえって良かったのかな。国民に勇気と元気、笑顔を届けてくれているサッカー日本代表。逆境に立たされても最後まで諦めない。そこに「俺たちが下馬評を覆してやる」という気持ちの強さを感じるんだよね。

 初戦でコロンビアを倒し、ここまで違うんだというくらい変わった評価と期待。続くセネガル戦では先制されて振り出しに戻し、突き放されても再び追いついてドローに持ち込んだ。

 これまではリードされたら「ああ、もうダメだ」という空気になりがちだったけど、どんな局面でも慌てることなく攻め続ける。国際大会の重圧、怖さを経験した選手ならではの強さ。リベンジしたい者しか持っていない反骨心というパワーだ。

 競技は違うけど、2004年のアテネ五輪。私は病に倒れた長嶋茂雄監督に代わってヘッド兼打撃コーチとして野球日本代表の指揮を執った。オールプロで臨む初めての五輪。勝って当たり前という空気の中で送り出され、金メダルしか頭になかった。

 予選リーグは6勝1敗で1位通過。予選で唯一負けたオーストラリアと準決勝で当たり、0―1で敗れた。体中の力が抜けた。言い訳にならない情報不足。劣勢に立たされると負ける怖さを感じて自分たちのプレーができなかった。

 3位決定戦でカナダを11―2で破って銅メダルは手にしたが、国民の期待を裏切って申し訳ない思いでいっぱいだった。

 今回は真逆。大会直前に指揮を執ることになった西野監督を中心に対戦相手を丸裸にして戦術・戦略を練り、選手はそれを頭に叩き込んで体が自然に反応している。その中で大きな役割を果たしているのが「おっさんジャパン」。セネガル戦で同点弾を放った本田ら、悔しさを知るベテラン勢だ。彼らにはなんとしても16強入りし、決勝トーナメントでも暴れてもらいたい。

 さあ28日のポーランド戦。引き分けでも自力で1次リーグ突破が決まる。20年東京五輪に向けて日本のスポーツ界全体に弾みがつくような戦いを…いや、大会前みたいにあまり期待しない方がいいかもしれない。 (スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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