昨季2軍落ちで絆…“平石チルドレン”楽天・田中 新体制のキーマンに

[ 2018年6月25日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天6―5日本ハム ( 2018年6月24日    楽天生命パーク )

<楽・日>8回2死二、三塁、田中の一塁内野安打が勝ち越し適時打となる(撮影・篠原岳夫)
Photo By スポニチ

 楽天・田中が50メートル走5秒9の快足を飛ばした。同点の8回2死二、三塁、石川直の内角低めの151キロ直球に食らいついた。ボールが高く弾む間に、一塁を駆け抜けた。「絶対打とうと思った。三振さえしなければ何かが起こる。最初はファウルだと思ったが、全力で走った」。その間に三塁走者の島井が決勝のホームを踏んだ。

 「平石チルドレン」だ。成績不振で辞任した梨田前監督に代わり、17日の阪神戦から指揮を執る平石監督代行から、2番・茂木とともにキーマンに指名された。「1番・中堅」に固定することを約束されると、以降は5試合で22打数11安打で打率・500と気を吐いている。指揮官も「想像をはるかに超える活躍をしてくれている」と躍動する若武者に目を細めた。

 ルーキーだった昨季は51試合出場も打率・111と低迷。打席に入るたびにスタンドから「おまえが立っていい場所じゃねーんだよ!!」と強烈なヤジが降り注いだ。自信を失い2軍に落ちると、当時2軍監督だった平石監督代行に声を掛けられた。「おまえの強みを出せ」。縮こまっていたが、大きなフォームを取り戻し、規定打席不足ながら今季は打率・337と躍進した。

 4点差を逆転し、2試合連続で1点差勝利。チームは新体制発足後、5試合で4勝1敗となった。喜びや悔しさ、ベンチ内でも感情表現が豊かな38歳の平石監督代行は「目の前の試合に全力でやっていくだけ」と力を込める。まだ借金17と苦しいが、接戦を勝ち抜くたくましさは出てきた。 (黒野 有仁)

 ◆田中 和基(たなか・かずき)1994年(平6)8月8日生まれ、福岡県出身の23歳。西南学院では捕手として高校通算18本塁打。立大進学後に外野手に転向し、2年秋からベンチ入り。3年秋には打率.353、4本塁打と活躍。16年ドラフト3位で楽天入団。昨季は51試合で打率.111、1本塁打、2打点、7盗塁。1メートル81、75キロ。右投げ両打ち。

続きを表示

2018年6月25日のニュース