【東千葉】泥臭く金星つかんだ千葉経大付…雨中の激闘、ダルの笑み

[ 2018年6月23日 08:00 ]

第86回大会3回戦   千葉経大付3―1東北 ( 2004年8月17日    甲子園 )

<東北・千葉経大付>見逃しの三振に倒れ、ぼう然とするダルビッシュ、左はガッツポ−ズして喜ぶ松本投手
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 【スポニチ社員が選ぶわが故郷のベストゲーム】この夏、全国高校野球選手権大会は100回目。ふるさとチームの甲子園での活躍に熱くなった記憶を、北北海道から沖縄まで、今夏の代表校数と同じ56人のスポニチ社員がつづります。

 まさか、あの怪物に勝ってしまうとは――。それが率直な感想だった。

 高3だった04年8月。7月半ばで船橋高校野球部のマネジャーを引退した私は受験勉強のかたわら、「息抜きも必要」と言い訳?してテレビで甲子園を見ていた。千葉からは千葉経大付が初出場。松本吉啓監督の長男・啓二朗がエースナンバーを背負い「父子鷹」と注目されていた。その年の春、千葉経大付と我が校は練習試合を行い、松本は先発で2回か3回を投げていたが、こちらの打線は全く歯が立たなかった。「縁」と言うにはおこがましいが、そんな関わりもあって、千葉経大付には県の代表として少しでも勝ち進んでほしいと願っていた。

 千葉経大付は1回戦で鳴門一を4―1で破り、2回戦も富山商に1―0で勝ったが、続く3回戦の相手はダルビッシュ有を擁する東北だった。前年夏に準優勝するなど経験豊富で、この夏は初戦から2試合連続完封。好調な怪物を初出場の千葉経大付が打ち崩すのは難しいだろう。誰もがそう思っていたはずだ。

 だが、そんな予想はいい意味で裏切られた。雨の中、千葉経大付は6回まで0―0と互角の戦いを演じた。7回に1点を失ったが、9回2死三塁から井原の三ゴロを相手三塁手がはじき、土壇場で追いついた。10回についに勝ち越しに成功すると、その裏、松本がダルビッシュを見逃し三振に斬ってゲームセット。降りしきる雨の中でガッツポーズした松本と、打席で笑みを浮かべたダルビッシュの姿を、今も覚えている。

 翌日のスポニチで松本は「雲の上の存在相手に気持ちが入った」としているが、怪物相手に臆することなく、泥臭く粘り強く戦ったことが大金星につながったのだろう。堂々の初出場4強。ダルビッシュや横浜・涌井秀章らスター選手、そして駒大苫小牧の初優勝の印象が強い大会だが、松本ら千葉経大付ナインも彼らに負けない輝きを放っていた。

 ◆原田 真奈子(東京本社編集センター)千葉県出身。母校の船橋は市船橋とよく間違えられる。野球遊軍記者だった16年夏から18年春まで甲子園を4季連続取材。

 <千葉データ>

夏の出場 76回(通算94勝73敗)

最高成績 優勝3回(習志野=1967、75年、銚子商=74年)

最多出場 銚子商(12)

最多勝利 銚子商(25)

出場経験 24校、うち未勝利10校

 ※データは東千葉、西千葉を合算

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