15分前にいきなり…中日 代役藤嶋 プロ初勝利「すぐに腹をくくった」

[ 2018年6月18日 05:30 ]

交流戦   中日11―3西武 ( 2018年6月17日    メットライフD )

ドアラとともに万歳するプロ初勝利をあげた藤嶋(撮影・木村 揚輔)
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 大仕事をやってのけた。中日の藤嶋健人投手(20)が17日の西武戦にプロ初先発し、6回9安打2失点でプロ初勝利を挙げた。予告先発の松坂大輔投手(37)が試合直前のブルペンで背中のけいれんを訴え、登板回避。急きょ巡ってきたマウンドで躍動し、チームの連敗を3で止めて交流戦最終戦を白星で締めた。

 藤嶋が松坂に代わる先発を告げられたのはトイレに行こうとした試合開始15分前だった。投球練習で肩を慣らし、せわしなくマウンドへ。「朝倉コーチから“おまえで行く”と言われ、すぐに腹をくくった。意外と落ち着いて入れました」。1年夏から甲子園の大舞台を踏んで培った度胸の良さを見せつけた。

 連打で無死一、二塁を背負った初回は浅村、山川、栗山の中軸を3者連続三振。「四球で走者を出すより打たれて出す方がいいと開き直った」。強力打線に毎回安打を許しても失点は4回の森の2ランだけ。最速143キロながら直球、変化球ともにテンポよくストライクを投げ込み、アウトを積み重ねた。

 プロ初昇格は4月下旬。ロング救援もこなすなど中継ぎ10試合で防御率1・61の好投を重ね、抜てきされた緊急先発でも堂々の結果で応えた。

 2軍でも5試合登板に終わった昨季はリリースの瞬間に体が前のめりになって直球がスライダー回転していた。悪癖解消を期し、オフから毎日のように動画投稿サイトで巨人・上原や元広島・黒田の投球フォームをチェック。「左手の使い方やリリースまでの映像を自分のと見比べ、イメージを湧かせてブルペンで投げた」と2年目の飛躍につなげた。

 プロ初勝利を「素直にうれしい」と喜び、「野球を最初に教えてくれたのはお父さん。両親に渡したい」とウイニングボールを握りしめた。「父の日」に刻んだ大きな一歩。父・廉英さん、母・正実さんへ快投を贈り、チームにとっても最高の孝行息子が誕生した。

 ◆藤嶋 健人(ふじしま・けんと)1998年(平10)5月8日生まれ、愛知県出身の20歳。小2から野球を始め、東三河ボーイズに在籍した中3時に野茂英雄監督率いる「ジュニアオールジャパン」に選出。東邦では1年夏、3年春夏に甲子園出場。エース兼4番で高校通算49本塁打。16年ドラフト5位で中日へ入団。1メートル77、85キロ。右投げ右打ち。

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