阪神・中谷 則本撃ち!土壇場9回同点打「今年は貢献できている」

[ 2018年6月17日 05:30 ]

交流戦   阪神2―1楽天 ( 2018年6月16日    楽天生命パーク )

<楽・神>9回1死一、三塁、高山の左前打で生還した中谷(右)は桑原と抱き合って喜ぶ(撮影・大森 寛明)
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 阪神は16日、楽天戦(楽天生命)に逆転勝ちし、2連勝で2位に浮上した。1点を追う9回1死二塁から前夜のヒーロー、中谷が相手エース則本から同点二塁打を放って勢い付かせ、高山の決勝打につなげた。4度目の対戦で天敵右腕に初めて黒星を付け、首位・広島とのゲーム差を3・5に縮めた。

 起死回生の一撃だった。チーム、そして自身を救う一振りで、中谷が目の前に漂っていた暗雲を振り払った。

 「とりあえず食らいついていこうと」

 1点を先制され、完封負け目前の9回1死二塁で迎えた第4打席。球界を代表する右腕・則本に対し2球続けての空振りで追い込まれても、気持ちだけは決して負けなかった。バットに執念を込め、外角低めスライダーを捉えた。中堅右への打球は最後にひと伸びして外野フェンス手前で弾んだ。代走の二塁走者・熊谷の生還には十分すぎる同点二塁打。8回まで5度の得点機を生かせず11三振を喫していた相手エースを落胆させるには十分すぎる一打で、続く原口、高山の代打陣の連打で決勝のホームを踏んだ。

 敗戦が近づき追い込まれた状況で力を発揮したことに価値がある。「一番、しびれるところ。1点ビハインドの得点圏というのはね。僕も経験があるけど、同点の勝ち越しの場面よりも負けている時の得点圏というのが一番、プレッシャーがかかる。最高の結果というか。勝負強いところを見せてくれた」。金本監督も25歳の、にじみ出る執念と意地に、最大級の褒め言葉を与えた。

 5回無死二塁では送りバントを試みたが、見逃しとファウルで追い込まれ、最後は強行策で投ゴロに終わり走者を進められないミスを犯していた。「ミスを取り返してやろうと思った」。力投していた岩貞を援護できなかった悔しさもあっただけに、自力でミスを帳消しにする姿が、何とも頼もしかった。

 自己最多133試合に出場した昨季、常に結果を残さなければ生き残れない重圧と戦っていた。通常、野手は休日となる月曜日も「体を動かさないと本当に怖いので」と、深夜に自宅を飛び出して、ランニングを敢行することも少なくない。極限の疲労、高まり続ける緊張の中、今もバットを振り、グラウンドを駆けている。

 「チームのために打てたことが一番良かった。昨年はチャンスで打てなかったが、今年は(少しは)貢献できていると思います」。得点圏打率・429はチームのレギュラー級ではNo・1。頼れる男には今後も、しびれる1打席が待っている。チームのために――。中谷は覚悟を決めて歩を進める。(遠藤 礼)

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