【秋田】KKコンビに打ち砕かれた夢 共感覚えた選手たちの試合後の笑顔

[ 2018年6月14日 08:00 ]

第66回大会準決勝   金足農2―3PL学園 ( 1984年8月20日    甲子園 )

<PL学園・金足農>8回、逆転2ランホームランを放つPL学園・桑田真澄投手
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 【スポニチ社員が選ぶわが故郷のベストゲーム】この夏、全国高校野球選手権大会は100回目。ふるさとチームの甲子園での活躍に熱くなった記憶を、北北海道から沖縄まで、今夏の代表校数と同じ56人のスポニチ社員がつづります。

 夏連覇を狙うPL学園を相手に、夏初出場の金足農が8回表を終えて2―1とリードしていた。当日は秋田県内の公立高の2学期の始業式。高校2年だった私は、学校に残ってラジオで中継を聞いていた。好投を続けていた水沢は、8回裏1死から4番・清原を四球で歩かせてしまい、5番・桑田に0―1から甘く入ったカーブを左翼席に運ばれた。第1回の秋田中以来の決勝進出という夢は、私と同学年の「KKコンビ」に打ち砕かれた。

 強豪校を追い詰めた選手たちは、とてもすがすがしかった。帰宅して見たローカルニュース。甲子園の砂を集める場面でも涙はなかった。それどころか笑顔が目立っていた。全てを出し切ったという思いの方が強かったのだろう。同じ高校生として共感を覚えた思い出がある。

 水沢博文投手のテンポのいい投球も鮮明に記憶している。捕手の返球を受けて2、3秒後には投球モーションに入る。当時の私は「ノーサインなのでは」と思ったほどだった。秋田県出身には、山田久志氏、落合博満氏ら誰もが知っている名選手もいるが、私にとっては金足農の水沢も忘れられない存在の一人だ。

 金足農は第77回大会でもベスト8に入っており、史上最強の農業高校と言っても過言ではないだろう。今年は春季県大会を19年ぶりに制した。「KANANO」のユニホームが再び甲子園で躍動するのを心待ちにしている。

 ◆佐藤 博之(東京本社スポーツ部)ゴルフ、格闘技、サッカーなどの担当を経て、一昨年、14年ぶりに相撲担当に復帰。母校の横手高は第51回大会で甲子園出場。

 <秋田データ>

夏の出場 72回(通算41勝72敗)

最高成績 準優勝1回(秋田中=1915年)

最多出場 秋田(19)

最多勝利 秋田商(10)

出場経験 13校、うち未勝利5校

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