立命大のドラ1候補・辰己は走攻守+頭でけん引 阪神など絶賛

[ 2018年6月12日 05:41 ]

全日本大学野球選手権大会1回戦   立命大4―3奈良学園大 ( 2018年6月11日    東京D )

<奈良学園大・立命館大>7回2死、辰己はセフティバント、快足を飛ばして内野安打にする(撮影・篠原岳夫)
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 虎も大絶賛だ! 「第67回全日本大学野球選手権」に2年ぶりに出場した立命大の今秋ドラフト1位候補・辰己涼介外野手(4年)が11日、奈良学園大との初戦で決勝打を含む2安打2打点の活躍。福留や糸井の後釜になれる存在として、視察した阪神スカウト陣をうならせた。

 50メートル走5秒7、遠投125メートルと抜群の身体能力に、体脂肪率5%と無駄のない研ぎ澄まされたボディー。それだけじゃない。抜群の“野球脳”も兼備する辰己に、ネット裏のあちらこちらから感嘆の声が漏れた。

 阪神も例外ではない。和田豊テクニカルアドバイザー以下、総勢12人で金の卵を視察。担当の熊野輝光スカウトは「足、肩、打撃とすべてで高いレベル。スターになれる要素は十分です」とうなった。さらに自軍の選手を引き合いに出し「福留や糸井の後釜としても考えられる外野手かな」と評価。客観的な意見として「補強ポイントが合う球団なら、1位指名もあるのでは」と今秋のドラフト戦線をにらんだ。

 辰己自身は2年ぶり、主将として戻ってきた全国舞台だった。同点で迎えた5回2死二、三塁の場面。外角高め直球を仕留め、左中間を破る勝ち越しの2点二塁打を放った。「困った時は俺の前に走者をためろ」――。前夜のミーティングで宣言した通り、値千金の一撃で2年ぶりの勝利を呼び込んだ。

 有言実行の決勝打に、後藤昇監督も「言ってもなかなか実現せんもんなんですけど」と脱帽した。辰己自身は「格好をつけた」と笑ったが、本当の狙いは違った。「一番全国を経験しているのは自分。他の選手に重圧をかけたくない」。侍ジャパン大学代表で世界経験も豊富な背番号1。主将らしい気遣いでチームを引っ張った。

 7回2死からは三塁線へセーフティーバントも決めた。この時の一塁到達は、プロのスカウト陣の計測で3秒61。左打者でも3秒9を切ればトップレベルと言われるだけに、驚異的なタイムだ。その1球前には伏線も敷いていた。大きなスイングでわざと空振りし、三塁手の守備位置を下げさせたのだ。

 こまめな歯磨きがルーティンの一つ。こだわりがあるという硬めの歯ブラシを寮から持参し、朝5時からピカピカに磨いて初戦に臨んだ。「今は日本一になることしか頭にありません」。リーグ戦や全国大会を今秋ドラフトへ向けた「就活」と表現する辰己。アピール大成功に、白い歯もキラリと光った。(吉仲 博幸)

 <他球団の辰己評>

 ▼オリックス・長村裕之球団本部長兼編成部長 走攻守全てにおいて高いレベルにある。肩も強い。そういう意味ではイチローみたいなタイプ。打撃を見てイチローというわけではなく、全体的にレベルが高いという意味で。広角に打てるし、力強さと器用さがある。大学生の野手ではトップレベル。

 ▼楽天・長島哲郎スカウト部長 脚力と肩の強さは(西武の)秋山に近い。スピードがあって飛距離が出れば秋山みたいに1、3番を打つような選手になる可能性はある。1軍のレギュラーを奪える能力はある。

 ▼日本ハム・大渕隆スカウト部長 リストが強く、素晴らしい。守備と足もあるので、補強ポイントが合う球団によっては1位でいくところもあるのではないでしょうか。1軍ですぐやれる力を持っている。

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