天理大 亡き友に「全国1勝を」連盟記録4つ塗り替えた猛打で頂点へ―

[ 2018年6月11日 10:19 ]

1月に急逝した福丸さんのユニホームとともにリーグ制覇を果たした天理大ナイン。天国に全国1勝を届ける
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 「第67回全日本大学野球選手権大会」は11日に神宮球場、東京ドームの両会場で開幕する。2年連続6度目出場の天理大(阪神大学)は1回戦で大商大(関西六大学)と対戦する。

 晴天に恵まれた5月20日。3季連続優勝が決まると、背番号5のユニホームが高々と宙を舞った。「僕の胴上げじゃありません。チームを一つにしてくれた福丸の胴上げです」――。天理大の藤原忠理監督はゆっくりと空を見上げた。

 天国の友に捧げる3連覇だった。キャンプ直前の1月13日。当時2年生部員だった福丸和起さんが白血病で急逝した。練習熱心な選手だったという。

 昨年8月から続いた入院生活。「グラウンドに戻りたい」――。その願いは叶わなかったが、部員を近くで見守っている。今季はすべての試合のベンチで福丸さんのユニホームが掲げられている。

 荻野翔大郎主将(4年)は決意を示した。「福丸を全国の舞台へ連れて行きたかった。福丸の気持ちを背負って戦います。全国で結果を残すことが僕たちの責任だと思っています」。亡き友のために全力で白球を追う。

 今春、連盟記録を4つも塗り替えた破壊的な攻撃力が天理大の持ち味だ。

 1番を打つ権代雄太郎内野手(4年)が1季最多27安打をマーク。打率・551で5年ぶりに連盟記録を更新した。「どんな投手が相手でも自分の形でスイングができたら自然と結果はついてくる」。リーグ屈指のリードオフマンがチームに勢いを吹き込む。

 5月11日の大体大3回戦は圧巻だった。1試合最多安打記録を塗り替える23安打で16得点。歴代最多37度の優勝を誇るライバルを叩きのめした。この試合で4番の田中秀政内野手(4年)が4打点。通算打点を18へ伸ばし、連盟記録を更新した。田中は「リーグ戦同様、打点を稼ぐことが勝利に近づく」と全国舞台をにらむ。

 得点パターンは2段階仕様だ。権代、北川大貴内野手(2年)の1、2番が出塁し、田中ら中軸で還す。9番を打つ荻野翔大郎内野手(4年)ら下位打線も出塁率が高く、上位打線で還す。藤原忠理監督は「今季は2パターンで得点が取れている」とうなずく。キャンプは1日1500スイングがノルマ。徹底的な振り込みで頂点に立った。

 左右のダブルエースが進撃を支える。左の森浦大輔投手(2年)が3勝、最速152キロ右腕・八木玲於投手(3年)が4勝を挙げた。後ろには桜木健次郎投手(3年)も控える。昨年の大学選手権は準々決勝で立大にタイブレークの末に1点差惜敗した。その立大が頂点に立ったことを考えれば、天理大の力も推し量れる。「まず昨年を上回る4強が目標」と森浦。一歩ずつ確実に頂点を目指していく。(吉仲 博幸)

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