阪神・能見“新天地”でサヨナラ呼んだ 2回零封で通算100勝王手

[ 2018年6月10日 08:17 ]

交流戦   阪神3―2ロッテ ( 2018年6月9日    甲子園 )

延長11回から2イニングを無失点に抑えた能見(撮影・成瀬 徹)
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 阪神は9日、延長12回でロッテにサヨナラ勝ちした。相手の適時失策で白星が転がり込む劇勝の立役者は、中継ぎに転向した能見篤史投手(39)だ。同点の11回から登板して、2回無安打無失点の好投で流れを呼び込んだ。今季初勝利で通算99勝目。大台に王手をかけたベテラン左腕が、逆襲を期す猛虎に勢いをもたらした。

 “未知の領域”で、すべてを出し切った。悪い流れを断ち切り、劇的勝利を呼び込んだのはプロ14年目、39歳の能見だった。

 「(延長10回のピンチを)球児がしっかり切ってくれたから。先発投手も頑張って、リリーフもつないでくれたので、自分もそれに乗っかっていった」

 同点の延長11回に6番手として登板。ドミンゲスを中飛に仕留めるなど、打者3人をわずか7球で料理すると、12回も託された。

 「(2イニング目も)少し冷静になりながらも、しっかり腕を振っていくことが大事だと」

 中継ぎ転向2試合目にして訪れたイニングまたぎ。2死二塁とされたが、動じなかった。「高めにいかないように、あとは自信を持って」。高速クイックも織りまぜ、中村を中飛。「後ろでの2イニングと先発での2イニングは違う。1人、1人が勝負になっていくところは違うので」。先発との違いを痛感しながらも、2回を零封した。

 引き分け寸前だった延長12回1死一、二塁から併殺を狙った二塁・中村の悪送球でサヨナラ勝ち。能見に今季初勝利が転がり込んだ。「(白星は)先発が付くのが一番いいのでね」。8年ぶり通算3勝目となる救援での白星にも、7回無失点と快投した岩貞を労うように首を振った。

 とことん進化を追求する。昨季終了後、足しげく通った場所があった。甲子園球場のトレーニングルームで向き合ったのは初動負荷トレーニングの機器。プロで迎える13回目の冬、新たな挑戦だった。

 「この歳になって、できないことは多くなってくる。パワーがない体で、力をボールに伝えるにはどうすればいいかを考えてね。弓を引くように、柔軟性を生かしてボールを投げるイメージでね」

 筋肉の柔軟性を高め、少ない力でも最大限のパワーがボールに伝わる“弓矢のような”体を作り上げた。今季、先発では未勝利も、直球の最速は149キロ。「本当にボールは元気」と手応えはある。

 価値ある1勝で通算100勝へ王手をかけた。「できればいいですけど、自分の仕事をしっかりやって、自分の勝利を目指すのではなく、リリーフとして、しっかり頑張りたい」。“新天地”で腕を振る覚悟はできている。 (遠藤 礼)

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