常勝と育成――相反する責務の中で高橋監督が見せた覚悟

[ 2018年6月8日 15:39 ]

巨人の高橋監督(撮影・篠原岳夫)
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 【伊藤幸男の一期一会】7日の楽天戦。敗れたとはいえ、巨人・高橋由伸監督(43)の覚悟を感じた。ドラフト1位・鍬原拓也投手(22)をビハインドゲームながら7回まで続投させたことに「ニュースター」を一刻も早く育てたい信念があった。

 16年、ジャイアンツ球場で行っていた秋季練習。日本ハムが大谷、西川ら若手中心で日本シリーズを制した直後とあり、指揮官が「来年はウチも岡本を使います。ただレギュラーは自分でつかむもの」と話していたのを思い出した。

 翌年、岡本は開幕スタメンも結果を残せずファーム暮らしが続いた。入団4年目の今季。期待通り、4番として認められるまで成長しつつある。

 常勝と育成――。巨人軍監督は相反する責務がある。かつて長嶋茂雄終身名誉監督から聞いた言葉が印象的だった。「ウチは捨てゲームが出来ない。東京ドーム4万人のお客様に無様な試合は見せられないんです。その中で若手を育てなければならない」。

 高橋監督もミスター、原辰徳前監督の薫陶を守りつつ、最強チームづくりに取り組んできた。生え抜きプレーヤーとFA戦士を融合させながら混セを勝ち抜く。その中で剛速球や本塁打でファンを魅了するスーパースターが存在感を発揮する。自身が歩んできた道を、後輩にも切り開いてもらいたい。その「手助け」は惜しまない。

 東京六大学のスタートして慶大から巨人入りした98年、実力でレギュラーを奪い取ってもさらに汗を流した。決して「天才打者」ではない。豊富な練習量と万全な体調管理がなければプロで、そして巨人で生き残れないのを知っていたからだ。

 巨人は今季も交流戦で今季も苦しんでいる。借金を減らすため、もちろん目先の白星は欲しい。しかし、スーパースターを生み出すのも人気球団を率いる指揮官の仕事である。だからこそ鍬原を菅野智之(28)に続く次世代エースへ育てたいのだろう。

 ルーキー右腕は降板後、中大の先輩である阿部のアドバイスに耳を傾けていた。プロの壁を「3度目の正直」で突き破る。

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