「公立の星」を目指す中日ドラ6山本 阪神・才木と投げ合う日を夢見て

[ 2018年6月5日 11:30 ]

中日のドラフト6位・山本拓実投手
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 新たな「公立の星」となれるだろうか。中日のドラフト6位・山本拓実投手(18)は兵庫県の市立西宮高校出身。公立高校から直接プロ入りした右腕には最近、大きな刺激を受けた人がいる。

 勘のいい人ならもう分かったかもしれない。5月27日の巨人戦でプロ初勝利を挙げた阪神の才木浩人投手(19)だ。才木も同じ兵庫県の公立高校である須磨翔風の出身。「才木さんも兵庫の公立からプロに行った。投手としてのタイプは違うけど、目標にしています」と尊敬のまなざしを見せた。

 実は昨冬、才木が自主トレで使っていた大阪市内のトレーニングジムに山本も通っていた縁で対面を果たしている。そこで才木から言われたのは「自分の考えを持つ」ことだそうだ。「我を持っていれば、プロでも伸びるという話をしてくださった」という。

 プロに入れば多くのコーチや先輩からアドバイスや指導を受ける。その教えを自分でどう理解するか。自我がなければ成長につながらない。山本自身もプロ生活が始まって約半年が経ち「自分を持つというのが大切と分かった」と語る。

 山本がプロを意識したのは、高校3年の6月。選抜王者・大阪桐蔭との練習試合で7回を3安打3失点と好投し「思っていた以上に抑えることができて、レベルの高いところで野球をやりたいと思うようになった」。だが、市立西宮高校は兵庫県内でも屈指の進学校。「100人に相談したら95人には進学しろと言われました」と大学に進学してから、プロを目指す道を勧められた。

 それでも「頭をしっかり使えるのが自分の武器。進学して野球と勉強を両立するより、自分の野球選手としての伸びしろを考えたらプロが一番向いているのかなと思った」と厳しいプロの扉を叩いた。才木同様、この時点ですでに「自分の考えを持つ」ことができていたのかもしれない。

 山本は今は2軍でレベルアップに励む日々。4月29日のウエスタン・リーグのソフトバンク戦で初登板を果たすと、ここまで5試合、計8回2/3を防御率2・08と奮闘している。

 「いつか兵庫の公立の投手同士で投げ合うのが目標。追いつけるようにやりたい」。

 1メートル89と長身の才木とは対照的に1メートル67と小柄な山本。同じ公立ながら投手としてのタイプは真逆だ。どんな「公立対決」となるのだろうか。今から楽しみでならない。(記者コラム・徳原 麗奈)

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