野球の言魂(コトダマ) DeNA・ラミレス監督編

[ 2018年5月29日 09:30 ]

DeNAのラミレス監督
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 【君島圭介のスポーツと人間】貯金2で交流戦を迎えたいと話していたDeNAのアレックス・ラミレス監督(43)だったが、5月27日のヤクルト戦(神宮)に敗れ、プランは崩れた。その試合後、バレンティンに決勝の逆転打を浴びた場面を振り返って言った。

 「タイラはいい球を投げたが、うまく打たれた。結果は仕方がないことだ」

 3―2の5回2死二、三塁で打席に坂口を迎え、ラミレス監督は球審に故意四球(敬遠)を申告する。「サカグチは首位打者を争っている好打者であり、ウチは4割も打たれている」。決断にはデータの裏付けがあった。前日も2安打されるなど、DeNAはその試合まで坂口に38打数15安打、打率・395と打ち込まれていた。

 満塁策でバレンティン勝負。マウンドの平良は2打席目まで外角に逃げるカットボールを駆使し、無安打に抑えていた。バレンティンの今季対DeNA打率は・243だ。確率でいえば平良に分がある。だが、有効だった外角のカットボールは軽打に切り替えたバレンティンのバットで中前に弾き返された。

 平良は「思ったよりも曲がらなかった。(外角で)泳がせたかったんですけど…」と唇を噛みしめたが、ラミレス監督は責めなかった。その言葉は、野球が確率の積み重ねで勝敗が決する数学的なスポーツだと教えてくれる。

 ラミレス監督の決断には常にデータが元にある。打順を決めるとき、投手の交代を決めるとき「こういうデータがあるから」と公言する。日本のスポーツ界では重宝される直感、勝負勘や人情のような不確定要素はほとんど挟まない。

 ラミレス監督は選手を批判しない。素直に相手が一枚上だったと認める。データに基づいた決断だから監督自身も責任を背負い込まない。こういうリーダーが統率するDeNAは、ストレスが少ないチームだ。いい球を投げたが、打たれた。カットボールの曲りが悪かったことは個人の修正ポイントで、敗戦の本質とは考えない。ラミレス監督の言葉はいつも潔い。(専門委員)

 ◇君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。プロ野球やJリーグのほか、甲子園、サッカー選手権、花園ラグビーなど高校スポーツの取材経験も多い。現在はプロ野球遊軍記者。

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