阪神・中谷、恐怖にサヨナラ!昨季20発が重圧「足震えた」日々乗り越えた

[ 2018年5月27日 08:12 ]

セ・リーグ   阪神5―4巨人 ( 2018年5月26日    甲子園 )

9回2死一、二塁、サヨナラ打の中谷(右)は金本監督と抱き合う(撮影・大森 寛明)
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 阪神・中谷将大外野手(25)が26日の巨人戦(甲子園)で、プロ8年目で自身初となるサヨナラ打を放った。昨季20本塁打と飛躍しながら、今季は開幕から2軍暮らしが続いた男の復活を告げる快音に、今季最多4万6703人の大観衆も歓喜した。

 すべての苦悩が報われた。左翼からの返球よりも早く糸原がサヨナラの生還を果たすと、中谷は一塁塁上で両手を突き上げた。地獄を味わい、恐怖と戦ってきた男が自らのバットで苦境を打破した。

 「心臓バクバクでした。あの場面で打てて良かった。サヨナラ打が初めてだったので、どう喜んでいいのか分からなかった」

 同点の9回2死一、二塁、前4打席すべて凡退し、代打を出されてもおかしくなかった。信じてくれたベンチの期待に応えたい一心だった。2ボール1ストライクから沢村のスプリットに必死に食らいついた打球は三塁手・岡本の右を抜けた。

 「タイミングはアウトでしたけど、糸原もしっかり走ってくれたので良かった」と、同い歳で仲の良い同僚に感謝。思い切り抱きしめた金本監督も「僕が弱気になったらダメということで絶対に打ってくれるという気持ちでいたんで、よく応えてくれた」と最高に目を細めた。

 開幕2軍スタートで初昇格は今月22日。この日が4試合目の出場だった。想像を絶する重圧との戦いが始まったのは昨秋のシーズン終了後。「今年20本打って、これが周りの基準になる。来年、20本打てるイメージが沸かない。怖い」と漏らした。主砲への成長過程でぶつかる壁は、とてつもなく高かった。

 今春キャンプでも打撃不振に陥り、結果も出ず。2月の実戦で打席に向かう際に「足が震えていた」と話す悩みの深さは想像を超えていた。飲食店で割り箸をバット替わりにして、打撃フォームを模索した日もあった。

 苦境で手をさしのべてくれたのが「戦友」だった。3月中旬に降格した直後、10年のドラフト同期で13年に戦力外通告を受けた穴田真規さんと食事に行った。「今まで生きてきた中で、一番笑ったかもしれませんね。やっぱり同期はいいなって。あいつは、もう野球やってないんで、頑張ろうと思えた」。17年に和歌山箕島球友会で現役引退した友に、背中を押された。

 独り占めしたお立ち台では「鳴尾浜でも地方でも早く上がってこいという声を励みに思ってやってきた」と虎党に頭を下げた。チームは今季初の4連勝で貯金1。みんなが待っていた背番号60の逆襲は、これからだ。(遠藤 礼)

 ≪交流戦前の5割以上確定≫チームは今季初のサヨナラ勝ち。巨人戦では17年7月9日の甲子園、同点の9回2死一、二塁で糸原がマシソンから中越え二塁打で決めて以来。27日の巨人戦を残して貯金1とし、16年から3年連続で交流戦前の勝率5割以上を確定させた。

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2018年5月27日のニュース