慶大ルーキー渡部、冷さ失わず殊勲の一打 指揮官が惚れ込む逸材

[ 2018年5月22日 10:30 ]

<明大・慶大>9回、サヨナラ打となる中前適時打を放つ慶大・渡部 (撮影・白鳥 佳樹) 
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 優勝争いが佳境を迎えている東京六大学野球リーグ。21日、慶大が明大との首位攻防戦で劇的なサヨナラ勝ちを果たし、勝ち点を4に伸ばして秋春連覇へがぜん有利な状況に立った。

 今年の慶大はとにかく泥臭く、しぶとい。そして途中出場の選手がきっちり仕事を果たしている。中でも21日の試合でサヨナラ打を放った1年生・渡部遼人(わたなべ・はると)外野手の冷静さには驚いた。1メートル70、63キロと小柄だが、50メートル6秒ジャストの俊足が武器。守備力と走力を買われて8回に代走から出場し、そのまま左翼の守備固めに入った。サヨナラの場面。代打、スクイズなど様々なことが想定された。それでも「もう外野手は使い切っている。代打はないと思った」と落ち着いていた。

 大久保秀昭監督の判断も早かった。連日早朝から練習を見守り、選手の状態を細かくチェックする積み重ねのたまものだろう。きっと渡部の冷静さも踏まえていたと思う。「打ってこい!」と背中を押された渡部は、指3本分バットを短く握った。マウンドには前日完封された明大の本格派右腕・伊勢。総力戦でかかってきていた。そんな状況でも緊張しなかったというのだから、すごい。「代走・守備から出ていたし、打撃は自信ないと思われたんじゃないですかね」。確かに大学では投手の球が速くて自信をなくしかけていたそうだが、結果は142キロを見事にセンター返し。殊勲の一打で先輩にもみくちゃにされ「先輩たちが粘った試合なので、おいしいところを持っていってしまったというか…でも、すごくうれしかった」とはにかんだ。

 桐光学園時代、同じ神奈川勢の慶応高を視察していた大久保監督が「躍動感、勝負勘というか、すごく光るものがあって、一緒にプレーしたいと思った」と惚れ込んだ逸材だ。ラブコールを伝え聞いた渡部は「慶応でやりたかったので、入試でダメなら浪人するつもりだった」と覚悟を決めて必死で勉強し、AO入試で入学を果たした。

 同級生には慶応出身の正木、履正社出身の若林、大阪桐蔭出身の福井と甲子園や高校球界を沸かせたスター選手がズラリ。渡部は3年夏の神奈川大会4強が最高成績で「僕は目立たない方。でもやるべきことをやろうと思った」とマイペースを貫いてきた。渡部の活躍は、同級生にも大いに刺激になったことだろう。今だけでなく、彼らが4年生になる年にも楽しみが続いていく。(記者コラム・松井 いつき)

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