小山ベースボールビレッジが次々と生み出す“野球熱”を高める仕掛け

[ 2018年5月20日 11:30 ]

3月、栃木の練習に初参加し、廃校となった小学校のグラウンドでダッシュする村田
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 「男」は健在だった。ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブス(以下、栃木GB)に所属する村田修一内野手(37)が12日、古巣・巨人(3軍)との試合で9回に代打逆転2ランを放ち、両軍のファンから大歓声を受けた。

 その栃木GBは、小山市の廃校に拠点を構えている。村田の義父の母校だったという元小学校を「小山ベースボールビレッジ」として、栃木GBの運営母体でもある人材総合商社エイジェックを中心に、地域の野球熱を高める仕掛けが次々と生まれている。

 17年3月で休校が決まった小学校を市から譲り受け、改装を始めた。体育館は全面人工芝の室内練習場に様変わり。BCリーグの本部に長らく在籍し、現在は栃木BGの経営企画部長を務める山本優司氏は「雨天時などの室内練習場の確保は、BCリーグに所属する球団共通の悩みです。自前でこれだけの設備が整っているところは他にはない」と話す。

 校舎に入ると、ホールや教室にはトレーニング器具がズラリと並ぶ。職員室は球団事務所となり、一般の人も利用可能なラウンジ室を設営。保健室をトレーナー室として利用する。一方、プールでは水車のようなものが稼働していた。ここで郷土料理として具材になる川魚「モロコ」を生育。今年度から活動を始めるエイジェックの企業チームの選手たちが生育に携わり、雇用を生んでいる。

 校庭はもちろん、グラウンドとして活用。校舎裏の給食センターを稼働させ、選手に食事を提供する計画もある。ここを栃木GBだけでなく、社会人チーム、小中学生対象のアカデミー、そして女子チームが活用する。

 女子チームの選手兼監督には「ナックル姫」こと、吉田えりが就任した。昨年、右第一肋骨を骨折。チームの立ち上げに励む一方、ようやく投球できるまでに故障が癒えた。「私自身も復活して、チームを必ず日本一にします」と力強く宣言する。中学、高校、大学と進むにつれ、女子選手を受け入れる環境は限られてくるのが現状。野球を続けたくても続けられなかった野球女子たちが、続々と小山に集まっている。

 ベースボールビレッジはチームの活動だけでなく、トレーナーや審判の育成機関としても機能させる予定。村田だけではない。野球で地域を盛り上げるモデルケースとして、小山に注目が集まる日はそう遠くない。(記者コラム・池田 翔太郎)

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