大谷が起こした「MLB革命」 投打走で際立つデータ “数字マニア”も興奮

[ 2018年5月18日 08:30 ]

エンゼルスの大谷
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 エンゼルス・大谷翔平投手(23)のメジャー1年目に密着する「Monthly Shohei」の5月編は、データ面から凄さを解き明かす。100マイル(約161キロ)以上を複数回投げ、打球速度100マイル以上の本塁打を複数回放ったのはわずか3人で、今季は大谷一人だけ。大リーグ公式サイトの動作解析システム「スタットキャスト」による分析担当者も「大谷マニア」と化している。 (取材構成・奥田秀樹通信員)

 ◆“数字マニア”を興奮させる選手

 「二刀流・大谷翔平」の活躍に熱狂しているのは、日米の野球ファンだけではない。「データ革命」が進む大リーグで、日々、数字とにらめっこしている専門家たちにも衝撃をもたらした。

 「私たちは目を見張るような数字を出してくれる選手にエキサイトする」。そう語るのは、「スタットキャスト」によるデータ分析を担うデービッド・アドラー記者(26)。大谷は多くの項目で「スタットキャスト栄え」する選手だという。

 職場は球場ではなく、ニューヨーク、マンハッタンのオフィス。米東海岸のナイター開始1時間前の午後6時から、西海岸のナイターが終わる午前2時(現地午後11時)ごろまでが勤務時間だ。各試合の中継モニターに目を配りつつ、専用のノートパソコン向かう。

 パソコンの画面では「打球速度」「本塁打の飛距離」「野手の肩の強さ」など17のカテゴリーがあり、各部門の上位を次々と更新。それを紹介するアドラー記者のツイッターは大谷のデータに埋め尽くされつつある。

 例えば4月3日インディアンス戦。初回に打球速度104・5マイル(約168キロ)の初アーチ、8回に112・8マイル(約181キロ)の中前打を放った。後者は15年の「スタットキャスト」導入以来、投手では最速の打球だ。

 ◆全野手の中でも上位の打撃数値

 さらに4月24日アストロズ戦。今季メジャーの先発で最速の101マイル(約163キロ)を2度記録した。今季5本塁打の打球速度は全て100マイルを超えており、投打で100マイル超えを複数回マークした。堂々の「100―100クラブ」入りを果たしたのは、他にア軍のコールとメッツのシンダーガードしかいない。

 今季の投手3部門でア・リーグ上位に名を連ねるコールは、もちろん打者としてはプレーしておらず「大谷こそ真の二刀流選手」と言う。実際に平均打球速度や「ハードヒット率(95マイル=約153キロ以上の球を打つ確率)」は、全野手との比較で両リーグ10位以内につけ、「打てる投手」の枠を超えている。

 アドラー氏は「大谷は世界のベストプレーヤーの一人」と評価する。投打に加え、走塁面でも傑出しているためだ。4月22日ジャイアンツ戦では最高レベルの水準に値するスピードの秒速30フィート(時速約32・9キロ)を記録。4月12日ロイヤルズ戦で記録した二塁、三塁への到達速度は、今季チーム最速だった。

 ◆メジャー新時代「大谷2世」待望

 「私が大谷についてツイートすると、その反響から、米国でも多くの人が彼を応援し、ユニークで特別な才能にエキサイトしているのが分かる」とアドラー氏。投球、打撃、走塁と異なる3部門で際立つデータを示す大谷は「exceptional(例外的)」だとし、存在自体が革命的だといえる。

 昨年のドラフト1巡目でレイズに入団したマッケイは投手兼一塁手の二刀流としてマイナーで育成中。「米国の才能のある野球少年たちも大谷のようになりたいと夢を見るだろうし、彼(マッケイ)らの背中を押す。大リーグでも二刀流は可能だと証明していることは大きい」。アドラー氏は、早くも「大谷2世」を待望している。

 今後、「スタットキャスト」は変化球の曲がる角度なども数値化して提供する方針。そこでも大谷のスライダーの曲がり幅、スプリットの落ちる角度などが一つの基準となり、新たな野球の見方として広がりそうだ。

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2018年5月18日のニュース