【斎藤隆氏サミーレポート】日本の弱点「右投げ右打ち強打者」と「打てる捕手」

[ 2018年5月18日 10:25 ]

<エンゼルス・アストロズ>フォームを確認しながら引き揚げる大谷
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 MLBのスカウティングは、数年前までキューバ市場がトレンドでした。多くの球団がキューバの原石に目を向けましたが、それも「ひと段落した」というのが米球界関係者の共通見解です。そうなると、次の未開拓市場として注目を集めるのは、アジアになります。

 日本のアマチュアのレベルは年々高くなっています。今年は投手では、東洋大の上茶谷、甲斐野、梅津の150キロトリオが話題になっていますが、ひと昔前と比較して、球速だけを見ても明らかに速くなっている。ドラフト1位クラスの投手は、仮に米国のドラフトなら2巡目、つまり上位30〜60人の中に入っても不思議ではありません。

 打者では、パドレスの幹部と、昨季のパ・リーグ新人王、西武・源田の話になりました。「社会人にあんないい選手がいたのか。社会人もしっかりチェックするように」と。日本のアマチュア選手を見ていると、「右投げ左打ち」の好打者で、スピードも兼ね備えた選手は本当に多い。その一方で、「右投げ右打ち」の強打者が少ないというのが印象です。

 「右投げ左打ち」のカテゴリーは、アマチュア時代から競争が激しい。そこを勝ち抜いてきたトップ選手は当然、レベルも高いですが、実力はある程度、来るところまで来たとも言えます。今で言えば、そのトップの一人がエンゼルスの大谷でしょう。しかし、「右投げ右打ち」は、まだ頂点が見えていない気がします。MLBでは、ヤンキースのスタントン、ジャッジ、エンゼルスのトラウト、アストロズのアルテューベら、「右投げ右打ち」の強打者が席巻していますが、日本も彼らのようなスケールの大きな選手が出てきてほしいという思いはあります。

 同じ観点で言えば、「打てる捕手」も日本市場の弱点でしょう。どちらかと言えば、守備重視で、打撃がいい捕手は守備の負担を減らすために、コンバートされることも少なくありません。打撃のいい捕手が出てくれば、野球は変わります。

 「右投げ右打ちの強打者」と「打てる捕手」――。アマチュア年代でこの層が厚くなれば、日本の野球のレベルはもっと上がるのではないかと考えています。 (パドレス球団アドバイザー)

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2018年5月18日のニュース