名中堅手の系譜

[ 2018年5月18日 10:30 ]

日本ハム・西川遥輝
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 【伊藤幸男の一期一会】日本ハムの西川遥輝外野手(26)がチームの歴史に名を残す外野手に育ちつつある。

 16日の西武戦(東京ドーム)初回、先頭の秋山が放った中前への飛球に猛然と突っ込むとスライディングキャッチ。上沢直之投手(24)の3年半ぶりの完封を援護した。

 「僕としては外野手をやり始めてから一番いろいろ考えながら突っ込んだ。ヒットにするのは簡単。でも先頭バッターだったから前に落としたくなかった」。秋山の出塁を許せば相手は機動力を織り交ぜ猛攻を仕掛けてくる。4月18日の同カード(メットライフドーム)終盤2イニングで8点差を逆転されたからこそ、攻撃の芽を摘む必要があった。打球が落下するまで3秒。西川は瞬時の判断で足から滑り込んだ。

 自身の悪夢も振り払った。13日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)2回無死一塁からデスパイネのライナー性の打球に突っ込みながら後逸して三塁打に。チームも零敗を喫した。「前回、前の打球をそらしていたので」。

 野球に「たられば」は禁物だが、ここで勇気を振り絞らなければ、ピンチは広がり、上沢の投球数も一気に増えていたはずだ。

 西川は2年連続のベストナインに加え昨年、初のゴールデングラブ賞を獲得。看板選手の大谷がエンゼルスに移籍した今季、球団の親会社ニッポンハムグループの「食とスポーツ応援アンバサダー」の1人に任命され、同社のテレビCMに出演するなど地位を固めつつある。

 04年にチームが北海道へ移転し、札幌ドームを本拠地として以降、数々の名中堅手を輩出してきた。ゴールデングラブ受賞10度の新庄剛志氏、同3度の森本稀哲氏、同7度の糸井(阪神)、同4度の陽岱鋼がヨウダイカン「(巨人)…。北の大地から球界を代表する中堅手に成長していった。外野手に定着して4年目。今回のファインプレーが西川を名実ともに「球団の顔」として覚醒させるきっかけとなるかもしれない。(専門委員)

 ◆伊藤 幸男 1959年6月8日生まれ。84年スポニチ入社。アマ野球、巨人担当。北海道総局勤務を経て現在に至る。

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