侍ジャパンU―12 全日本合同トライアウト デジタル動画公募での試み

[ 2018年5月16日 09:30 ]

仁志敏久監督
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 【伊藤幸男の一期一会】侍ジャパンU―12を指揮する仁志敏久監督(43)が熱い口調で応募を訴えた。「全国の子供が世界を相手に戦えるチャンス、気軽に参加して欲しい」。「第10回U―12アジア選手権」(8月13日〜、台北市)代表メンバーを全日本軟式野球連盟や各都道府県支部からの推薦とは別に、一般応募されたデジタル動画を元に審査・選考する「デジタルチャレンジ」だ。

 今年で3回目のトライアウト方式だが、全国の認知度は今一つ。「昨年は数百程度しか来なかった。応募条件はあるけど、ボクとしてはあくまで目安と考えてます」。応募条件は(1)50メートル走7・3秒以下(2)球速105キロ以上(3)遠投70メートル以上(4)特筆すべき技能(例・平均打率5割以上)ながら、仁志監督は子供たちが動画を通じて自らの長所をPRして欲しいと力説した。

 U―12監督とはいえ、所属チームごとに育成方法があるからこそ、自らの理論は決して押しつけない。夜間の素振りなどを通じて選手ごとの指導方針が分かれば、最小限のアドバイスにとどめている。「ボクは技術より将来の考え方を教えているつもり。世代ごとの代表チームとは、こういうもの、と根幹を伝えたい。野球以外はどうでもよくなっちゃうではダメなんです」。

 最近の傾向として食生活の偏向ぶりも逆手に取った。「中国遠征とか行くと香辛料など好き嫌いがあって食べない選手が多いんです。たまの息抜きとして、宿舎近くのファストフード店を探して連れて行く」。ジャージー姿で団体行動すれば店側も「未来の日本代表」として“丁重”に扱ってくれるという。自分たちで考え、生き抜く方法を模索することが、将来必ず役立つと信じている。

 プロ野球の観客動員は右肩上がりながら、若年層の野球人口は減り続けている。仁志監督は「大人が野球に興味も持たなくなった」ことを原因の一つに挙げている。とはいえ野球振興に携わる者として、現状を憂いてばかりいては始まらない。

 U―12を率いて5年目。思春期だからこそ、様々なタイプの選手がチームを劇的に強くすることも分かった。「4番・投手」タイプのエリートだけでなく、一芸に秀でた選手の応募を待っている。

 「デジタルチャレンジ」の応募締切は今月29日。アドレスは別掲の通り。

 ◆仁志 敏久(にし・としひさ)1971年(昭46)10月4日、茨城県生まれの42歳。常総学院から早大、日本生命を経て95年ドラフト2位で巨人入団。99年から4年連続ゴールデングラブ賞。06年オフに横浜移籍し、09年退団。10年3月に米独立リーグ・ランカスター・バーンストマーズへ入団。同6月に現役引退。日本での通算成績は1587試合で打率.268、154本塁打、541打点。13年から侍ジャパンの内野守備・走塁コーチ、14年からU―12代表監督に就任。

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