数字だけでは測れない評価、プロのスカウトはどこを見ているのか

[ 2018年5月3日 10:00 ]

厳しい目で選手をチェックする広島・苑田スカウト統括部長
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 プロのスカウトは選手のどこを見ているか。大ベテランの広島・苑田聡彦スカウト統括部長の話が興味深かった。

 今年からアマ野球担当になったことを伝えてあいさつすると、「アマ野球の記者はよく最速何キロと言うけど、ファウルの打球を見るといいですよ。バックネットに突き刺さるようなファウルが飛んでいるときは投手がいい球を投げている。打球が前に飛んでいると、空振りも取れないんですよ」と教えてくれた。

 プロ注目投手で常に記事になるのが「最速何キロ」という球速だが、実際はスピードガンによって誤差がある。2球団のスカウトが同時に計測しているところを見たことがあるが、表示が5キロ以上違うときもあった。球の下を打ってバックネットに打球が飛ぶということは、手元で伸びている証拠。そこに注目して試合を見ると、確かに140キロ台中盤の球でも前に飛ばされる投手と、130キロ台でも「ファウルがバックネットに突き刺さる」投手がいる。

 スカウトは選手の精神的な部分にも目を光らせている。苑田さんは「打席で向かっていく姿勢がないとダメですよ。勝負はケンカですから。天才的な打撃技術があっても、気持ちがゼロの選手もいます」と話した。ミスをして下を向くような選手はプロで通用しないという。「今岡(現ロッテ2軍監督)なんかは(東洋大時代に)守っていても“俺のところに飛んで来い”という気持ちが出ていましたよ」と振り返った。プロはそこまで見ているのかと驚いた。

 プロ野球選手が野球で飯を食っているように、スカウトは野球選手を見る「目」で毎年勝負している。スピードガンやストップウオッチでは測れない選手の評価をもっと聞きたいと思った。(記者コラム・渡辺 剛太)

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2018年5月3日のニュース