広島・高橋大 衣笠先輩にささぐプロ初安打「喜ぶ顔見られたのかな」

[ 2018年5月1日 08:12 ]

セ・リーグ   広島2―4阪神 ( 2018年4月30日    マツダ )

2回1死、プロ初安打を放ち、雄叫びを上げる高橋大
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 広島は30日の阪神戦(マツダ)で、延長10回1死一塁、6番手・一岡がロサリオに決勝2点本塁打を浴びて敗戦し、チームの連勝は5で止まった。衣笠祥雄氏への哀悼の意を込めて、左肩に喪章をつけた臨んだ阪神3連戦の最終戦。同氏と同じ京都・龍谷大平安高出身の高橋大樹外野手(23)は「7番・中堅」で4年ぶりに先発し、プロ初安打を含むマルチ安打を放ち、1軍で躍動する姿を天国に届けた。

 あまりに出来すぎた物語になった。2回1死無走者、2ボール2ストライク。高橋大は、阪神先発・岩貞のスライダーを振り抜くと、強烈な打球が左前に弾んだ。プロ初安打。左肩の喪章をなびかせ、天国に旅立った先輩を思った。

 「もし見てくれているなら、衣笠さんの喜ぶ顔が見られたのかなと思います」

 衣笠祥雄氏が死去したことが明らかになった24日に、高橋大は1軍に昇格した。同氏の高校の後輩。プロ入り直前、同校の原田英彦監督に連れられて、3人で焼き肉店を訪れた。「凄い人すぎて、言葉はあまり入ってこなかったです…」。そう苦笑するが、“鉄人”からの一言は、胸に刻み込んだ。忍耐――。食事会でもらった直筆サインに、添えられていた言葉だ。「大野寮」に入寮するときにも持参した。

 「サインはすごく印象に残っています。応援してもらったので(“追悼試合”で)打てたらいいですね」

 初安打にとどまらず、6回1死無走者で迎えた第3打席にも左前打を放ち、マルチ安打をささげた。

 「2軍でやってきた通りの入り方でブンブン振らずに、コンパクトにいけました。やっと…です」

 12年のドラフト1位で入団し、今季で6年目になった。2年目に2試合出場して6打数無安打。そこから3年間、2軍でくすぶっている間に、同期入団の2位・鈴木は実績では遠い存在になった。まさに「忍耐」の日々。「トップの位置から最短距離でバットを降ろしていく。今はそれだけを意識しています」。たどり着いたシンプルな考え方で、ウエスタン・リーグ2位の打率・370をマークして昇格を勝ち取った。

 衣笠氏の死去が明らかになってから続いていた連勝は5で止まった。それでも敗戦の中に、確かに宿る“鉄人魂”を見た。

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2018年5月1日のニュース