阿部 代打オンリー11打席目初安打 折れそうだった心支えた王さんの言葉

[ 2018年4月30日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人11―8ヤクルト ( 2018年4月29日    東京D )

<巨・ヤ>7回1死満塁、代打で登場した阿部が右前へ同点の2点打を放ち、一塁ベース上でVサイン
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 巨人・阿部慎之助内野手(39)が29日のヤクルト戦で今季初安打を放った。7回1死満塁から代打で出場し、右前に同点2点打。今季11打席目の待望の一打で打線に火をつけ、亀井善行外野手(35)も代打で勝ち越しの2点二塁打を放った。打者12人の猛攻で一挙6点の逆転劇。16年7〜8月以来2年ぶりの7連勝となった。

 久しぶりに一塁をオーバーランした。チーム24試合目、自身11打席目での初安打。阿部は喜びを爆発させ、塁上でこう漏らした。

 「やっと打てた…」。出番は2点を追う7回1死満塁。フォークに食らいついた。「形は大事じゃないんだな、代打は」。泳ぎながらも引っ張って一、二塁間を破った。2人の走者が生還。この同点打が呼び水となり、今季2度目となる4点差の逆転勝ちだ。今季は全て代打で出場。元4番の「顔」で2つの押し出し四球を含む3打点を挙げており「ノーヒットで10打点を目指していた」と笑わせたが、7連勝に導き「初めて仕事できたかな」と本音も漏らした。

 プロ18年目。故障以外では初めて開幕スタメンを外れた。同じ一塁を守る4年目の岡本が台頭し、代打の切り札として出番を待つ。「いつも大事なところで使ってもらっている」。初めての役回り。通算2037安打の強打者でも「(緊張は)するね、やっぱり」と苦悩と戦い続ける。

 折れそうな心を支えてきたのは、世界の本塁打王の言葉だった。3月14日のソフトバンクとのオープン戦。右翼に大ファウルを放った。翌日。ソフトバンクの王貞治球団会長から金言を授かった。常にボールをしっかり捉える重要性で「ああいうファウルは大事。これからはどうやったら息の長い選手になれるかを考えなさい」。胸に刻まれた。開幕から1カ月間の無安打も初体験。それでも「野球人生で大事なことだと思う」と前を向けた。

 高橋監督も「本人もホッとしていると思う」と目を細めた。「打率なんてどうでもいいから、勝ちにつながる打点を」と阿部。リーグトップのチーム打率・285。強力打線の中で、存在感を示した39歳のベテランはお立ち台で決めゼリフ「最高でーす!」を東京ドームに響かせた。 (池田 翔太郎)

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