「リクエスト」導入1カ月 成功の鍵握る選手とベンチのアイコンタクト

[ 2018年4月28日 09:00 ]

リクエストを要求する巨人・高橋監督
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 監督がリプレー検証を要求できる新制度「リクエスト」が今季から導入され、約1カ月がたった。12球団のリクエスト総数は早くも50回を超え、「成功率」は約4割。回数を重ねるごとに各チームとも工夫が始まり、今ではベンチの監督、コーチだけの判断ではなく、現場の皮膚感覚を持つ選手との「アイコンタクト」が成功への近道となっている。

 選手が肌で感じた感覚を、いかに素早くリクエストに結びつけるか。開幕から1カ月がたち、新制度の中でも「トレンド」ができつつある。「最初はベンチで監督やコーチが判断していた」。セ・リーグのあるコーチはそう話し「今は選手らとのアイコンタクトやしぐさで探り、現場の肌感覚を大事にしている。その方が正確だし、そうなるのが自然の流れ」と証言した。

 その流れの「先駆け」は1日の巨人―阪神戦。4回無死一塁で阪神・大山が遊ゴロに倒れた。遊撃・坂本勇から二塁→一塁と転送されて併殺かと思われたが、一塁はセーフ。この判定に高橋監督がリクエストを要求し、結果はアウトに覆った。要求する直前に行われたのが、坂本勇と指揮官のアイコンタクト。ベンチと選手の間で瞬時に「いける」と判断し、成功につなげた。

 リクエストの権利があるのはあくまで監督。それも速やかな要求が求められ外部でモニターなどをチェックしての伝達行為は禁止されている。そんな中でグラウンドの選手らの肌感覚をいかに拾い上げるか。そこに成功の鍵が隠されている。

 17日の西武―日本ハム戦では、8回に西武の捕手・森が投球を前にこぼした隙に三塁を狙った二塁走者・太田が一度はアウトに。この時も「タイミングは微妙だったが、選手(太田)がアピールしていたから」(緒方野手総合コーチ)と当事者の感覚を重視してリクエストを行い、判定は覆った。阪神・片岡ヘッド兼打撃コーチも「監督や自分だけじゃなく選手にも集中して見てもらうようにしている」と、常にチーム全体で臨戦態勢を整えている。

 また、早め早めの仕掛けとなるのもリクエストの特徴だ。大リーグの「チャレンジ」が権利1度なのに対し、日本は2度。ロッテ・井口監督は「明らかにアウトでも、流れを変えようと思ってやることもある」と積極派だ。同球団は12球団で最多のリクエスト9度。1度目は迷わず要求し、仮に2度目となれば慎重に。そんな思惑を各チームが持っている。

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2018年4月28日のニュース