大谷を攻略した強打者のバットは「革命的」?

[ 2018年4月28日 11:15 ]

グリップエンドが「レ」の字のバットを使用するアストロズのスプリンガー(AP)
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 レッドソックスのベッツとアストロズのスプリンガー。いずれもエンゼルス・大谷に痛打を浴びせた、メジャーを代表する強打の外野手である(ベッツは17日に先頭打者本塁打、スプリンガーは24日に2安打)。そして、大きな共通点がもう一つ。使用しているバットのグリップエンドの形状に特徴がある。

 AP通信は25日付で「あるメーカーがバットに革命をもたらそうとしている」と題して特集した。従来のバットはグリップエンド部分が「逆Tの字」だが、2人のバットは「レ」の字。手のひらに当たる部分が出っ張っていない。ワシントン州を拠点とするアックス・バット社がデザインしているもので、文字通り「斧(おの=アックス)」の柄の形に似ているグリップエンド。現在、大リーグ公認のバットメーカー4社とライセンス契約を結んでいる。

 09年から開発に着手され、12年に第1号モデルが誕生。以降も改良を重ね、現在に至っている。この形状は日本でも一部で導入されているようだ。16年から本格的に使用し、昨年のワールドシリーズではMVPに輝いたスプリンガーは「バットコントロールがしやすくなった。ずっと使っていく」と話す。

 感覚には個人差があるが、フィット感が増し、手のひらへの衝撃を軽減する効果があるという。操作性が上がり、内角球をさばきやすくなったとの声も。有鉤(ゆうこう)骨を骨折した経験のあるダイヤモンドバックスの主砲ラムは「このバットだと痛みがない」と選択した。アッパースイングから本塁打を量産する「フライボール革命」の次は、「斧バット」による革命が訪れるのだろうか。

 しかし…。道具が進歩するのは喜ばしいことだが、一方でメジャーへ移籍する日本投手の「滑りやすい」「形状が一定でない」「日本のボールの方が質がいい」との声は、後を絶たない。昨季はボールが飛びやすくなったという指摘が、米球界全体で相次いだ。投手を後押しするボールの質向上への取り組みが相変わらず進まないのは、寂しい限りだ。(記者コラム・大林 幹雄)

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